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人材確保に苦戦しているのは民間企業だけではない。自治体でも土木系技術職員の担い手不足や定員割れが深刻だ。採用試験の受験資格の緩和や試験時期の前倒し、筆記試験の撤廃など、異例の取り組みが各地で相次ぐ。

 20人の採用枠に対して、30人が受験し、最終的に合格したのは18人──。滋賀県が2019年6月、大卒者(予定者含む)を対象に実施した土木職採用試験の結果だ。合格倍率は10年前の3.7倍から1.7倍と大きく低下。しかも、最終合格者は採用枠に満たなかった。

 滋賀県の土木職において近年、6月の通常募集で定員割れになる事態は珍しくない。そこで県は12年から毎年10月に「特別募集」を始め、必要な人数をなんとか確保してきた。

 それでも17年、土木職20人の採用枠に対して通常募集と特別募集の最終合格者が計19人と定員割れが起こった。県は18年、高卒者枠と年齢上限を40歳に引き上げた大卒者の中途枠の採用試験も新たに開始。対象を広げ、1人でも多く受験してもらおうと必死になっている。

 「新卒の土木職の公務員志望者を近隣の自治体同士で奪い合っている」。採用を担当する滋賀県土木交通部の白井秀人副主幹はこう話す。

 背景には滋賀県の特殊な事情がある。県内の大学と高等専門学校、工業高校のうち、土木の専攻があるのは立命館大学びわこ・くさつキャンパスだけ。地元の学校から地元の自治体に入る流れを作りづらい。

 頼みの綱は、滋賀県出身で県外の大学などに進学した学生だ。県の職員は毎年、近畿や東海、北陸、関東地方に足を延ばし、土木系の学科などがある20校近くで説明会を催している。土木職の採用パンフレットには、「県内に住んでいればどこに配属になっても通勤可能」など、県の魅力を訴える言葉が並ぶ(図1)。

図1■ 公務員ではなく「滋賀県」を志望してもらえるように訴求
図1■ 公務員ではなく「滋賀県」を志望してもらえるように訴求
「若者が多い」など滋賀県のアピールポイントを列挙する。滋賀県が土木職向けに作成した採用パンフレットから抜粋(資料:滋賀県)
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