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2020年春、いよいよ第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが始まる。映像など大容量のデータを超高速で通信でき、我々の生活が激変するといわれている。現場作業の遠隔操作が拡大すれば、現場に行かずに仕事を終える日が実現する。

 遠方の建設現場へ行かずに重機を操縦したり、工事の進捗を本社で管理したり─。大成建設は2020年2月18日、現場関係者の新しい働き方を予感させるデモンストレーションを披露した(写真1)。

写真1■ 大成建設が同社の技術フェアで実演した、5Gを使った重機の遠隔操作の様子。5Gを使うと高画質の映像など大容量のデータを低遅延で送れる。5Gと併せて一部で光回線を使用したため、インターネット環境によってはタイムラグが生じる場合があるもののほとんどの時間帯で不自由なく通信できる(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 大成建設が同社の技術フェアで実演した、5Gを使った重機の遠隔操作の様子。5Gを使うと高画質の映像など大容量のデータを低遅延で送れる。5Gと併せて一部で光回線を使用したため、インターネット環境によってはタイムラグが生じる場合があるもののほとんどの時間帯で不自由なく通信できる(写真:日経コンストラクション)
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 会場となった横浜市の同社技術センターには、複数のモニターが並ぶ。画面に映るのは、直線距離で20km以上離れた位置にある東京都稲城市の造成現場の様子だ。定点カメラや重機に搭載したカメラから見える現場の映像や、現場で稼働する重機の作業状況などをリアルタイムで確認できる。

 会場でモニターの前に立つ職員がゲームで使うようなコントローラーを操作すると、画面の中の重機が指示通りに動き出した。現場での重機の動きと会場で見る映像との間にタイムラグはほとんどない。多数のカメラやセンサーからの情報を得られるので、現場状況を把握しながら安全に操作できる。

 建設現場における重機の遠隔操作は既に、無線LANのWi-Fiを用いて確立している技術だ。災害現場のような人が立ち入ると危険な場所での実績がある。

 一方で、Wi-Fiには課題があった。大容量のデータを送受信しようとすると、遅延や解像度の低下、他の電波との干渉による映像の途切れなどが生じる。そのため遠隔といっても、現場から数十~数百メートル離れた操作室で重機を動かすレベルにとどまっていた。

 当然、デモで見せたように遠距離で円滑に重機を操るのは、Wi-Fiでは難しい。それを可能にするのが、20年春から商用サービスが本格的に始まる「5G」だ。大量の画像や動画を、これまでよりも高速で遅延なく送受信できるようになる。

 大成建設は稲城市の現場に、ソフトバンクが開発した持ち運び型の基地局「おでかけ5G」を設置。土砂の運搬や締め固めの作業で、有人の重機と遠隔操作、自動運転の重機との連携を試行。通信の速度や距離、使いやすさなどを検証中だ(写真2)。

写真2■ 大成建設が稲城市の造成現場で実施している5Gの実証実験の様子。操作室などから指示を出すと、無人の重機が自動で動いて単純作業をこなす(写真:日経コンストラクション)
写真2■ 大成建設が稲城市の造成現場で実施している5Gの実証実験の様子。操作室などから指示を出すと、無人の重機が自動で動いて単純作業をこなす(写真:日経コンストラクション)
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