近年、記録・再生や伝送の技術の発達に伴い、映像を使う業務が増えてきた。工事現場も例外ではない。東日本大震災の復興現場では4Kカメラによる映像を駆使し、AIで重機の台数を確認するなど、新しい現場管理の手法を模索している。
東日本大震災の復興工事で、「映像進捗管理システム」が試行されている。狙いは現場の生産性向上だ。現場の映像を分析してAI(人工知能)で重機の数をリアルタイムに把握し、計画値との差異から施工の進捗を管理する(写真1)。
実施者は、安藤ハザマと富士ソフト、日本マルチメディア・イクイップメント(東京都千代田区)、計測ネットサービス(東京都北区)、宮城大学の5者が組むコンソーシアムだ。内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の資金を活用した国土交通省の技術公募で採択された。
現場は、津波が押し寄せて壊滅的な被害を受けた岩手県大槌町の海沿い。計画高14.5mの防潮堤と2つの水門を構築している(写真2、図1)。技術の肝となる定点カメラは、現場の両端に位置する2つの水門の上に、2基ずつ設置した。

遠くまではっきりと映り、分析などにも使えるよう、「4K」対応のカメラを採用した。現場詰め所の会議室や所長室などに設置したモニターで、現場の様子をリアルタイムで確認できる(写真3)。
「現場で今何をしているのか、危険な作業をしていないかなど、映像を見るだけで確認できるため、助かっている」。現場で施工を担う安藤ハザマ・植木組・伊藤組土建・南建設JVの野田辰馬大槌作業所長は、こう評価する。