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担い手を確保しにくい「難工事」で、入札不調対策が課題となっている。国は工事成績評定の加点など、受注意欲を高める取り組みを進める。間接経費を割り増すように積算基準も改正。受注しやすい環境を整えた。

 国土交通省は、参加者の少ない維持工事の入札で、工事成績評定における加点や配置技術者の専任緩和など、建設会社の受注意欲を高める取り組みを進めている。

 巡回や清掃など日常管理を担う維持工事は、24時間365日の対応や緊急時の迅速な出動が求められる。その一方で、工事の利幅は小さく、建設会社が受注に二の足を踏む傾向が強い。国交省発注の維持工事では、2017年度の入札参加者が年平均2.8者と、一般土木工事の同7.3者の半数に満たない。「1者入札」も多く発生している(図1)。

図1■ 道路の維持工事で多い「1者入札」
図1■ 道路の維持工事で多い「1者入札」
国土交通省の8地方整備局と北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局が発注した維持工事の入札参加者数。対象は各機関が2018年度に契約した工事。内容は日常的な管理で、緑地や照明、清掃作業だけを対象とするものは除外。河川は、北陸地方整備局の工事を含まない(資料:国土交通省)
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 維持工事で受注者が固定化すれば、技術や価格の競争が起こりにくい。現在の受注者が撤退して、入札参加者がいなくなれば、日常的な維持管理が立ち行かなくなる。国交省はこれまでもロット(契約額)の拡大や工期の複数年度化など発注方法の見直しを進めてきた。

 さらに20年度から、工事成績評定の運用も見直した。評価項目の「施工条件等への対応」に、「維持修繕工事等の規模に比して地元調整等の手間がかかる工事」を追加。維持修繕工事の受注者に1点を加点できるようにした(図2)。

図2■ 工事成績評定で1点を加点
図2■ 工事成績評定で1点を加点
国土交通省は2020年度の実施工事から工事成績評定の運用を見直し、維持修繕工事を受注すれば自動的に0.8点が加点される仕組みを導入した。評定点の合計は四捨五入で整数とするので、多くの場合は1点の加点となる。国交省は19年11月に請負工事成績評定要領の改定を通知。同年12月以降に入札公告した20年度の維持工事から適用している。赤字が追加箇所。国交省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 工事成績評定で維持修繕工事の点数が上がれば、地方整備局が毎年実施する優良工事表彰で受賞が増える可能性がある。受賞すれば、総合評価落札方式の入札で評価が上がるため、他工種を含めて、工事の受注に有利になる。

 配置技術者の負担も軽減する。19年6月に公布された改正建設業法を受け、請負金額3500万円以上(建築一式は7000万円以上)の工事で義務付けている監理技術者の専任配置の規定を緩和。維持工事を受注した建設会社が監理技術者を補佐する人を専任で置いた場合、監理技術者が複数の現場を兼務できるようにする。適用は20年10月の改正法の施行後で、21年以降になる見通しだ。