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橋の架け替え工事後に取り付けた添架管の支持金具に強度不足が判明。補修費の9割を発注者と支持金具のメーカーが負担した。設計した建設コンサルタント会社の費用負担が1割にも満たなかったのはなぜ?

 熊本市は2019年12月、白川に架かる明午(めいご)橋に取り付けた配水管の支持金具に強度不足があったとして、添架工事の設計を担当した建設コンサルタント会社のティーズ・エンジニアリング(熊本市、以下ティーズ)を指名停止にした。指名停止期間は20年3月までの3カ月だ。

 明午橋は白川の拡幅に伴って、国土交通省が18年10月までに架け替え工事を完了。この工事に併せ、熊本市が配水管を設置した(写真1)。

写真1■ 熊本市内の白川に架かる明午橋。2018年10月に完成した橋長103mの鋼2径間連続鋼床版箱桁橋だ。橋桁の下流側に市が配水管を添架した。補修後の20年3月に撮影(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 熊本市内の白川に架かる明午橋。2018年10月に完成した橋長103mの鋼2径間連続鋼床版箱桁橋だ。橋桁の下流側に市が配水管を添架した。補修後の20年3月に撮影(写真:日経コンストラクション)
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 配水管は直径30cmで延長は117m。26カ所に設けたL字形の配水管支持金具は、橋桁のガセットプレートにボルトで取り付けた。

 支持金具の強度不足は、市が18年3月に実施した完成検査がきっかけで発覚した。4カ所の支持金具が最大で2.5mmほど外側に傾いていたのだ(写真2)。

写真2■ 橋桁のガセットプレートとの接合部で外側に傾いた明午橋の配水管の支持金具。構造計算にミスがあった。18年9月に撮影(写真:熊本市)
写真2■ 橋桁のガセットプレートとの接合部で外側に傾いた明午橋の配水管の支持金具。構造計算にミスがあった。18年9月に撮影(写真:熊本市)
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 市は水道を専門とする別の大手建設コンサルタント会社に再設計を依頼。26カ所の支持金具について、変状が生じていないものを含め、全て設置し直す補修工事を19年4月までに実施した。橋桁のガセットプレートへの取り付け方法は、当初のボルト接合から溶接に改めた(写真3)。

写真3■ 補修後の支持金具。橋桁のガセットプレートとは溶接で接合している。20年3月に撮影(写真:日経コンストラクション)
写真3■ 補修後の支持金具。橋桁のガセットプレートとは溶接で接合している。20年3月に撮影(写真:日経コンストラクション)
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 支持金具の補修工事に要した費用は約2262万円。明午橋の道路部分の供用が既に始まっていたこともあり、補修費は配水管を取り付ける当初の工事費の4割に上った。

 指名停止を受けたティーズだが、市のコンプライアンス推進室が19年12月に「業務上のミス」として公表した資料によると、責任を問われたのは同社だけではなかった。資料では、発注した市上下水道局の職員、ティーズから業務を下請けした設計協力者、支持金具を納めた資材会社のフソウ(東京都中央区)を加えた計4者に原因があると列挙した。

 最終的に決着した補修費の負担割合は、市が50%、フソウが40%となった。ティーズの負担は5%とごくわずかだった。

 発注者と資材会社が実質的な責任を問われ、設計者よりも多くの費用を負担することになったのはなぜか。経緯をひもといていく。