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竣工からわずか数年で問題が出たインフラ、基準の理解不足が招いた欠陥構造物。会計検査院が2019年11月に公表した18年度の「決算検査報告」では様々な設計ミスが指摘された。背景をひもとくと、深刻な技術力低下や予算確保の難しさが浮かび上がってくる。

 設計者も発注者も、なぜ気づかなかったのか─。会計検査院が2018年度の指摘事例として19年11月に公表した検査報告には、こうした設計の単純ミスが並んだ。

 例えば、三重県が15~16年度に実施した田光(たびか)川の砂防堰堤などの災害復旧事業では、施工した巨石積み護岸の基礎が延長7.5mにわたって露出する事態を招いていた(写真1)。完成からわずか数年後のことだ。

写真1■ 完成から数年後、根入れ不足による洗掘で延長7.5mにわたって基礎が露出した田光川の護岸。2019年3月に撮影(写真:三重県)
写真1■ 完成から数年後、根入れ不足による洗掘で延長7.5mにわたって基礎が露出した田光川の護岸。2019年3月に撮影(写真:三重県)
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 複数のミスが重なっていたが、構造物は完成。途中の段階で誰も誤りに気づかなかった。

 最初にミスを犯したのは設計者だ。設計の対象は、台風で被災した延長約43mの護岸など。設計者は図面を作成する際、護岸の天端の勾配が上流から下流に向けて一定ではなく、途中で1mほど下がる折れ線状に描いてしまった。

 施工者は設計図の不自然さに気づいたものの、新たなミスを重ねた。1mほど下がった護岸の天端を引き上げ、天端の勾配が前後の区間と合わせて一定となるように独断で修正したのだ。その際、設計図に書かれた護岸の直高5mを守って施工した。

 この結果、護岸の基礎の位置が上昇。根入れ深さが最も小さい所で22cmしかない状態で、護岸は完成した。県の職員は設計から施工まで続いた一連のミスを見逃した。