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流域治水では、堤防だけに頼らずに遊水施設などで計画的に洪水を受け止める。だからといって、堤防の機能に限界が来たと考えるのはまだ早い。堤体の全面を被覆するなど、越水しても壊れにくくする新たな対策の検討が始まった。

 河道内に洪水を抑え込まない流域治水は、河川のハード対策の限界を示すようにも見える。しかし、河川施設にもまだ改善の余地はある。

 国土交通省の調査によると、2019年の東日本台風(台風19号)で決壊した堤防140カ所のうち、86%は越水が原因だった(図1)。被害を踏まえて国交省は、20年2月に「河川堤防に関する技術検討会」を設置。越水しても壊れにくい堤防などの検討を始めた。

図1■ 決壊原因の8割以上が越水
図1■ 決壊原因の8割以上が越水
2019年の東日本台風で決壊した140カ所の堤防の、20年3月時点での破堤要因。国が管理する堤防で12カ所、県が管理する堤防で128カ所が決壊した。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 堤防は基本的に、洪水を計画高水位以下で安全に流すことを目的として整備している。必要な高さと断面を満たす「完成堤防」になっているか否かにかかわらず、洪水時の越水や決壊の危険性が当面解消しにくい箇所で越水に強い堤防構造を採用する方針だ(写真1)。川の狭窄(きょうさく)部や合流部、湾曲部、橋の上流部が当てはまる。

写真1■ 千曲川の破堤で浸水した長野市穂保の様子。2019年10月13日撮影(写真:国土交通省北陸地方整備局)
写真1■ 千曲川の破堤で浸水した長野市穂保の様子。2019年10月13日撮影(写真:国土交通省北陸地方整備局)
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