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大阪府の寝屋川流域で、地下70mの大深度に放水路を建設する全国初の事業が始まった。河川の拡幅などが難しい都市部では、内水氾濫を防ぐために洪水を地下へ流す。東京都では2020年2月に外径13m超のシールド機が発進。巨大調節池を建設する。

 大阪府が、河川では全国初となる大深度地下使用法の適用を受けて建設を進める「寝屋川北部地下河川」。土かぶり約70mの地下に内径9~11.5mのシールドトンネルを構築する計画だ(図1)。

図1■ 城北たて坑は深さ100m
図1■ 城北たて坑は深さ100m
寝屋川北部地下河川の概要。2019年に城北たて坑を着工。鶴見たて坑から門真市に延びる区間は20年度末に供用予定。寝屋川南部地下河川を含む総事業費は3660億円。大阪府の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 実は当初、同法の適用を受けない深さで建設する予定だった。大深度地下の利用は、いわば苦肉の策だ。

 都市部では用地取得が難しいので、河川拡幅といった洪水対策がなかなか進められない。用地取得が不要な道路の下に、洪水を一時的にためる調節池や、大きな河川に洪水を流す放水路などを建設するケースが多い。

 寝屋川北部地下河川のうち未整備の4.6kmの区間は、大阪市が整備する都市計画道路の下にルートを設定した。道路の整備と併せて、地下河川を建設する予定だった。

 ところが、都市計画道路の事業化のめどが一向に立たない。そこで、地下河川の整備を急ぎたい府は、大深度地下使用法の活用を決めた。同法が適用されると、トンネル上の土地所有者への補償が原則免除される。用地を取得する必要がなく、地上に建物が建っていても構わない。

 同法では、「地下40m」と「支持地盤上面の10m下」のうち、深い方を大深度地下の基準とする。この現場では後者を適用。支持層の深さを基に、トンネルのルートを地下約70mと定めた(図2)。

図2■ 支持層線から縦断線形を決定
図2■ 支持層線から縦断線形を決定
寝屋川北部地下河川の縦断図。深さを決めるに当たって、地質調査の結果から支持層の線を想定。下端を結んだ「包絡線」を作成し、その10m下を大深度地下の上面とした。これを基にトンネルの土かぶりを約70mと決めた。大阪府の資料を基に日経コンストラクションが作成
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