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治水対策で堤防などを整備する際は、自然環境への配慮が不可欠だ。静岡県では17.5kmにわたる防潮堤を、現地の環境への影響を最小に抑えて造り上げた。ダムに使うCSG工法を防潮堤に導入して実現した。

 2020年3月、浜松市の沿岸に延長約17.5km、高さ13~15mにも上る大規模な防潮堤が完成した(写真1)。南海トラフ巨大地震の津波に備えるため、県などが13年度から7年かけ、約330億円を投じて造り上げた。想定される宅地の浸水面積を8割減らすなど、整備によって見込まれる効果は高い(図1)。

写真1■ 浜松市の沿岸に造った全長17.5kmの防潮堤(写真:静岡県浜松土木事務所)
写真1■ 浜松市の沿岸に造った全長17.5kmの防潮堤(写真:静岡県浜松土木事務所)
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図1■ 防潮堤の整備効果
図1■ 防潮堤の整備効果
最大クラスのレベル2の津波が到達しても、浸水を国道1号までに抑えられる。静岡県浜松土木事務所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 この防潮堤の最大の特徴は、ダムの堤体を造る技術として開発されたCSG工法を採用した点にある。防潮堤をCSG工法で建設したのは、福島県沖に次いで全国で2例目となる。

 CSGとは、現場の周辺で手近に入手できる石や砂れきに、セメントと水を混ぜて作る材料だ。分級や粒度調整、洗浄といった手間がかからない。大規模な骨材プラントが不要で、簡易な施設で混合できる。

 CSGをタイヤローラーで繰り返し転圧し、何層も重ねて台形断面の堤体を造成する。現地の材料を活用して低コストで施工できるので、全国のダムの堤体に使われている。