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専門誌「日経グローカル」の調査で、47都道府県の2020年度予算の全容が明らかになった。多発する自然災害で防災への投資意欲が高まる一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う税収減は避けられない。厳しい予算運用が見込まれる。

 インフラ整備などに充てる投資的経費が、2020年度の予算で再び減少に転じた──。

 知事選を控えて骨格予算を組んだ熊本県を除く46都道府県の投資的経費の合計額は、19年度比3%減の8兆498億円。46都道府県のうち、過半の25の自治体が投資的経費を減らした(図1)。19年度の投資的経費は4年ぶりに増加。公共事業などで生計を立てる地方の建設会社などにとっては久々の朗報となったが、それもつかの間だった。

図1■ インフラ整備などの予算は減少傾向に
図1■ インフラ整備などの予算は減少傾向に
2020年度の当初予算の投資的経費について対前年度増減率の大きさで分類し、それぞれの都道府県数の割合を示した。19年度は北海道、神奈川、福井、山梨、三重、奈良、鳥取、徳島、福岡、大分、宮崎の11道県、20年度は熊本の1県が骨格予算または暫定予算のため除いている(資料:日本経済新聞社「日経グローカル」)
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 投資的経費のうち、自治体が補助金などを得ずに独自の財源で実施する事業に充てる単独事業費の減少が影響した。19年度と比べて10.2%の減少率だ。半面、国庫補助事業や国直轄事業負担金はそれぞれ3%程度増えている。

 投資的経費の増減率を都道府県別に見ると、34.4%増の長野県(投資的経費2311億円)や16%増の栃木県(同1563億円)、12.8%増の福島県(同3650億円)、7.2%増の埼玉県(同1691億円)などが上位に並ぶ(図2)。19年10月に来襲した東日本台風で大きな被害を受けた自治体だ。

図2■ 東日本台風で被災した長野県が大幅増
図2■ 東日本台風で被災した長野県が大幅増
2020年度に骨格予算を組んだ熊本県を除く。*を付けた道県は19年度が骨格予算または暫定予算だったので、増減率は肉付け補正後との比較(資料:日本経済新聞社「日経グローカル」)
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 同台風による被害額が2700億円を超えている長野県は、20年度に一般会計で総額約9500億円の予算案を決定した。当初予算が9000億円を超えるのは、03年以来となる。台風災害からの復旧・復興に491億円を計上した。

 郡山市を流れる逢瀬川で甚大な被害が集中した福島県も、巨額の費用を治水対策に講じている。20年度の当初予算では、東日本台風からの復旧や防災力の強化に向けた河川整備について、投資的経費544億円を見込む。19年度と比べて21.2%の増加率だ。

半数以上の都道府県が防災に重点

 一方、投資的経費を対前年度で最も減らしたのが群馬県だ。23.3%の減少率だった。大型コンベンションセンターのGメッセ群馬や八ツ場ダムの完成などに伴って、公共事業費が大幅に縮小したことが原因だ。

 群馬県に次ぐ減少率だったのが、東京都だ。20年度に開かれるはずだった東京五輪に向けて、競技会場などの新規整備や改修などが一段落した影響が大きい。対前年度で、20.9%減の1兆492億円だった。

 続いて、各都道府県の単独事業費ランキングに目を移す(図3)。27都道府県が対前年度で減らした。

図3■ 19県が対前期で増加
図3■ 19県が対前期で増加
2020年度に骨格予算を組んだ熊本県を除く。*を付けた道県は19年度が骨格予算または暫定予算だったので、増減率は肉付け補正後との比較(資料:日本経済新聞社「日経グローカル」)
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 そんな中、単独事業費を19年度と比較して47.6%増の374億円と大きく伸ばしたのが和歌山県だ。県立医科大学の薬学部を新設する事業に76億円、南紀白浜空港国際線ターミナルの整備に11億円をそれぞれ計上した。

 地方創生・地域経営の専門誌「日経グローカル」が47都道府県に、20年度の予算で財源を重点的に投入する事業分野を複数回答で尋ねたところ、最も多かった分野が「防災・減災・復興」だ(図4)。半分以上の27自治体が挙げた。前年度の調査よりも、6自治体増えた。

図4■ 防災・減災・復興へ加速
図4■ 防災・減災・復興へ加速
財源を重点的に投入する分野を上記の項目から3つまで選んでもらった。数字は都道府県数。回答のあった都道府県は2020年度が46、19年度が45(資料:日本経済新聞社「日経グローカル」)
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 西日本豪雨や北海道胆振(いぶり)東部地震など、自然災害が目立った18年に続き、19年は8月の九州北部豪雨や9月の房総半島台風、東日本台風などが相次いだ。被災した自治体が復旧に予算を投じる以外に、防災・減災を重視する傾向にある。

 加えて、18年度から始まった「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」が20年度に最終年度を迎える。強靱化の事業に予算を見込んでいる自治体も多い。例えば、高知県は緊急対策に対前年度で12.3%増となる229億円を計上している。