2022年度末の開業を目指して北陸新幹線の金沢―敦賀間、125kmの延伸工事が急ピッチで進んでいる。しかし、なかには他の工事の影響で着工が遅れたり、思わぬ悪天候で完成時期に暗雲が垂れ込めたりした現場も。難局を乗り切るため、各現場が繰り出す新たな一手を取材した。

特集
離れ業で架ける
北陸新幹線
目次
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初のフルプレキャストで着工遅れ挽回
福井駅の北東に位置する福井開発高架橋は、柱と梁だけでなく、両者が接合する仕口も含む全てのブロックにプレキャスト部材を鉄道構造物として初採用。他工事の影響で着工が遅れるなか、現場打ちと比べて工期を9カ月短縮し、1年8カ月で高架橋を完成させる。
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「スーパー桟橋」で通年施工を実現
10月中旬から翌年6月中旬までの非出水期に限って施工する計画を立てていた足羽川橋梁。ところが、大雨と大雪によって工事が遅延。出水期の施工も実現するため、通年施工できる桟橋を設置した。高水敷の一部を切り下げ、水位の上昇を抑える。
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道路と橋脚初共用で2.5億円削減
北陸新幹線の九頭竜川橋梁は、新幹線で初めて下部工を道路と共用する。鉄道と道路の橋脚を別々に造るよりも、コストを2億5000万円削減できる。道路の凍結防止剤散布に備え、新幹線の桁にも塩害対策として表面含浸材を塗布した。
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未成区間でくすぶる利害対立
全国各地で整備新幹線の工事が佳境を迎えている。北陸新幹線の金沢―敦賀間は2022年度末に開業する予定だ。敦賀から先は東小浜、京都、松井山手の各駅付近を通って新大阪につながる計画で、全線開通は46年ごろの見通し。京都や大阪の市街地は、大深度地下をトンネルで抜けるとみられる。