全1636文字
PR

構造物自体のスマート化を提唱

 「激甚化・頻発化する自然災害、既存インフラの老朽化、人口減少と、三重苦の状態だ」。日本の現状について道脇氏はこのように指摘する。

 道脇氏はこれらの課題と深く関わる土木分野でも多くの発明実績を持つ。特に意識するのは社会基盤の維持管理だ。インフラの点検や補修が、人手不足や熟練技能者の減少によって難しくなっている点を危惧しており、素材や構造物自身が点検を行う「スマート化」を提唱する。

 例えば、同社がカシオ計算機と共同で開発を進めている「smartNeji(スマートネジ)」(図2)。あらゆる構造体で使われるねじ自体をセンサー化し、構造体の損傷や老朽化の状況をねじ上部の通信回路から無線で報告させる。20年度中に実用化に向けた実証実験を行う予定だ。

図2■ センサー化したねじで健全性を監視
図2■ センサー化したねじで健全性を監視
スマートネジの情報伝達の流れ。ねじ自体をセンサー化し、構造体の健全性の状態をねじ上部の通信回路から無線通信で伝え、クラウド上のデータセンサーに集約する(資料:NejiLaw)
[画像のクリックで拡大表示]

 コンクリートの高品質化を極め、構造物の長寿命化や維持管理の簡素化につなげる技術にも取り組んでいる。コンクリートの品質低下につながるコンクリート気泡を自動的に消失させる装置「CB-zeROBO(シービーゼロボ)」の商用機を20年6月からIHIと共同で開発する(図3)。

図3■ コンクリートの気泡を消す
図3■ コンクリートの気泡を消す
「CB-zeROBO」の完成イメージ。打設時に生コンをこの装置に通すと変動する慣性力が印加されて、自動的に気泡が消える(資料:NejiLaw)
[画像のクリックで拡大表示]

 生コンに変動性を持つ慣性力を印加すると気泡が消失するという道脇氏が見いだした理論に基づいて開発した。型枠への打設時に生コンをこの装置に通すだけで気泡が消える。気泡は、コンクリートの強度や美観を損なう要因となる。表面気泡の補修には人手とコストがかかっているのが現状だ。独創技術で解決を図る。

  • 社名:NejiLaw
  • 代表者:道脇裕(代表取締役社長)
  • 本社所在地:東京都文京区
  • 創設:2009年
  • 社員数:非公開
  • 資本金:4億9900万円
  • 主な株主:INCJ、三菱UFJキャピタル、三井住友海上キャピタル、IDATENベンチャーズ
  • 主な取引先:IHI、IHIインフラ建設、IHI建材工業、カシオ計算機、関電工、ヒロセ、丸紅テクノシステム、メタルワン