2005年の高速道路会社の発足当時、債務の返済計画に大規模更新を含めていなかった。14年に計画を見直したものの、更新・修繕の対象とした区間は全体の一部にすぎない。残りの区間の老朽化問題については、先送りにしているのが実情だ。
道路は原則として無料──。これが、日本の道路政策の根幹にある考え方だ。有料道路は、例外的な措置と位置付けられる。
一部の道路運送法上の道路を除くと、有料の高速道路は道路整備特別措置法に基づいている。同特措法は、道路の建設や修繕の費用を通行料金によって賄うことを認める制度だ。高速道路会社などが建設や維持管理、料金徴収といった運営を担う。
債務の返済が終われば、道路を国や自治体に引き渡し、無料で開放する。現在、高速道路会社は2065年までに返済を終えると定められている。
とはいえ、65年までに全国の高速道路が本当に無料になると信じている人は少ないだろう。これまで、無料化の約束が幾度となく破られてきた経緯があるからだ。
その大きな要因に、「プール制」がある。これは、複数の路線を一体として扱い、全体の料金収入で債務を返済していく考え方だ。返済の終わった路線や黒字の大きな路線で、採算が厳しい路線の債務を肩代わりする方式といえる。
例えば、1960年に開通した京葉道路は、2000年に「千葉プール」として赤字路線の東京湾アクアラインなどと一体化された(写真1)。その結果、料金徴収が終わる時期は従来の15年から47年へと延期。さらに、道路関係4公団の民営化に伴い、他の高速道路と一緒に「全国路線網」に組み込まれ、有料期間は50年までに延びた。