高規格幹線道路が完成に近づくなか、それ以外の広域道路網の再編が課題となっている。国と自治体は約20年ぶりに広域道路網を見直し、新たな整備計画を作成する。既存の計画路線の廃止を含め、20年間の環境変化に応じた現実的な計画が求められる。
主要都市間や物流拠点同士を結ぶ広域道路の整備計画が約20年ぶりに改定される。国と自治体は、1998年にまとめた「広域道路整備基本計画」を見直し、2020年秋をめどに「新広域道路交通計画」を作成する。
高規格幹線道路や直轄国道などから成る広域道路ネットワークの計画は、平常時と災害時を問わず、安定的な車の通行を確保するための総合交通体系の基盤に位置づけられる。
新計画は、広域道路ネットワークと交通・防災拠点、ICT(情報通信技術)交通マネジメントの3テーマで構成。国土交通省の地方整備局が地方ブロック版を、都道府県と政令市が都道府県版をまとめる。
20年間の変化への対応が必要
国交省は新計画の作成に先立ち、20年3月に新たな広域道路ネットワークを検討する有識者会議を設置。6月に中間報告を公表した。
中間報告では、高規格幹線道路を補完する地域高規格道路や直轄国道などを再編。特定広域道路と広域道路の2階層に分け、効率的に整備や強化を図るべきだと述べた(図1)。
サービスレベルは特定広域道路が時速60km以上、広域道路が同40km以上を想定。前者が地域高規格道路に、後者が直轄国道などに当たる。
地方整備局と都道府県などは、有識者会議の提言を踏まえ、新広域道路交通計画を作成する。その際に留意すべき点は、新たな交通需要への対応と既存計画の必要性の検証だ。
前身の広域道路整備基本計画は、1994年に都道府県ごとに作成。その内容を基に各地の地域高規格道路を指定した。計画は98年に一度改めたが、その後20年以上にわたって見直していなかった。この間に、社会・経済情勢が大きく変化するなか、様々な課題が浮上した(図2)。