橋のたわみ量の常時モニタリングはデータの蓄積などの利点があるが、コストが高い。そこで、計測する時だけセンサーを持ち込むモニタリング技術の開発が進んでいる。橋の安全性に直結するたわみは、中小規模の橋の点検でこそ力を発揮する。
モニタリング技術の用途は、常時の計測だけにとどまらない。計測頻度が1年に1回でも、橋の挙動を把握して目視点検を補助するうえでは効果的だ。
東京工業大学発のベンチャーで橋のモニタリングに取り組んできたTTES(東京都目黒区)は、歩道や車道脇に置くだけでたわみを計測可能なセンサーを開発した(図1、2)。
縦横15cm程度の直方体形のセンサーに電源を入れたうえで、橋面に重さ8tの荷重車を走らせ、橋桁の振動を時刻歴の加速度として計測。たわみに変換し、携帯電話回線でクラウドに伝送する(写真1、2)。自治体が管理する単純桁の橋が主な対象だ。
荷重車の移動時間を含め、1橋当たりの計測時間は15分程度。浜松市で実施した試行では、山間部を含めて1日に32橋を計測した。センサーや荷重車は、計測時にレンタルすればよいので費用は安く済む。