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新東名高速道路の現場で、断層破砕帯の範囲が当初の想定よりも広いことが、施工段階になって判明。橋の構造形式を含め、設計に大幅な見直しが迫られた。秦野IC-御殿場IC間の開通時期も3年ほど遅れる。

 「掘ってみないと分からない」。基礎工事やトンネル工事でよく聞く言葉だが、新東名高速道路で建設中の中津川橋の場合、その影響は大きかった。中日本高速道路会社は2019年8月、新東名高速道路の秦野インターチェンジ(IC)─御殿場IC間の開通を当初の20年度から23年度に延期すると発表した。

 最大の原因は神奈川県西部にある中津川橋の現場で広範囲な断層破砕帯が見つかり、橋の構造形式を大幅に見直さなければならなくなったからだ(写真1)。工事費も数割ほど増える可能性がある。

写真1■ 中津川橋の施工現場。中央を中津川が流れる。主塔や橋脚の深礎を掘削する工事などが進んでいる(写真:中日本高速道路会社)
写真1■ 中津川橋の施工現場。中央を中津川が流れる。主塔や橋脚の深礎を掘削する工事などが進んでいる(写真:中日本高速道路会社)
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 中津川橋は、橋長約300mのプレストレスト・コンクリート(PC)3径間連続エクストラドーズド箱桁橋。三井住友建設が14年8月、上下部の詳細設計と施工を含め、80億6000万円で受注した。

 基本設計では、中津川の左岸に主塔を建てる計画だった。ところが、着工後の調査で主塔の下まで破砕帯が広がっていることが判明。主塔を右岸側に移すなどの変更が必要となった(図1)。

図1■ 主塔の位置を左岸から右岸に移す

(1)当初の設計
(1)当初の設計
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(2)破砕帯が広範囲であることが判明し、主塔を中津川の右岸側に移設
(2)破砕帯が広範囲であることが判明し、主塔を中津川の右岸側に移設
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(3)中央径間にバタフライウエブを採用して軽くし、側径間を短縮
(3)中央径間にバタフライウエブを採用して軽くし、側径間を短縮
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中津川橋下り線の検討の経緯(資料:中日本高速道路会社)

 中津川沿いに断層があるのは以前から分かっていた。「当初はPC4径間連続ラーメン箱桁橋などにする案もあったが、断層がずれるリスクを考え、採用しなかった。支間を飛ばして桁を吊るエクストラドーズド橋であれば、地盤の変位を柔らかく吸収できる」と中日本高速東京支社構造技術課の若林大課長は説明する。

 基本設計の段階で主塔建設地点のボーリング調査をしたものの、大半は支持層の深さ付近までの調査だった。「その下に破砕帯が斜めに入り込んでいるとは思わなかった。現地は急峻な地形で広範囲に調査するのが難しい。工事が始まってから樹木を伐採するなどして調査範囲を広げ、必要に応じて対策しようという考えだった」と若林課長は明かす。