国土交通省の「i-Construction」発表から5年。建設業界での生産性向上の取り組みは着々と根付いてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大など予期せぬ課題も生まれており、さらなる変革が求められている。ICT、CIM、ドローン、AIなどに造詣の深い「i-Conの申し子たち」が、先頭に立って業界を変えるべき時が来た。

i-Conの申し子たち
目次
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i-Conで「かっこいい」現場に
谷村 浩輔氏(37歳) 清水建設関西支店土木第一部工事主任
「国の方針だから実施しているのではない。自分たちのためになるから取り組んでいる」。i-Constructionの導入やICT(情報通信技術)の活用について、清水建設の谷村浩輔氏はこう信念を語る。
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土木とウェブの知識を生かして独立
堤 正雄氏(38歳) コルク社長
パスコからリクルートメディアコミュニケーションズへ転身して、その後、スタートアップのコルク(KOLG、東京都豊島区)を設立する──。異色の経歴を歩んでいるのが、コルクで社長を務める堤正雄氏だ。
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ICT企業との橋渡しで目指す第一人者
高岡 怜氏(32歳) 三井住友建設技術本部第一構造技術部主任
建設業界でi-Constructionが広まるにつれて、ICT企業と組んでソフトウエアなどを開発する建設会社が増えている。ただ、その開発の過程は可視化が難しいうえ専門性が高く、建設会社にとっては“ブラックボックス”になりがちだ。
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「ファミコン世代」が花形のAI開発
山脇 正嗣氏(37歳) 建設技術研究所国土文化研究所インテリジェンスサービスプラットフォーム研究員(主幹)
「東京でAI(人工知能)の研究開発をやってみないか」。2017年初夏、当時の上司から告げられたひと言が、建設技術研究所国土文化研究所で研究員を務める山脇正嗣氏にとって転機となった。
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シビックテックの知見を土木に生かす
榎本 真美氏(37歳) 土木研究所技術推進本部先端技術チーム交流研究員(パシフィックコンサルタンツから出向)
最近、「シビックテック」という言葉を耳にする機会が増えた。IT(情報技術)を活用して、市民自らが社会や地域の課題解決を目指す活動だ。
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ビッグデータで次世代の道路交通を
石原 雅晃氏(30歳) 阪神高速道路会社計画部調査課
次世代の道路交通サービスを創出するために、阪神高速道路会社は2017年、「Zen Traffic Data」(ZTD)プロジェクトに着手した。4人いる担当社員のうち、若手の立場でZTDを引っ張るのが石原雅晃氏だ。
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現場の「ICT駆け込み寺」を一手に
一藤 雪乃氏(34歳) 戸田建設土木工事部業務推進課兼土木ICT・AI推進部推進課主任
戸田建設が請け負う全国およそ100カ所の土木現場へのICT導入支援を一手に引き受けているのが、同社土木ICT・AI推進部推進課主任の一藤雪乃氏だ。
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のめり込んだドローンで急上昇株に
坂野 正弥氏(26歳) 国土交通省中部地方整備局技術管理課
被災調査などでは迅速な情報収集が求められており、国土交通省中部地方整備局では2017年度から、入省2年目の技術系職員にドローン操縦の講習を受講させている。20歳代の若さでその講師を務めるのが、中部地整技術管理課の坂野(ばんの)正弥氏だ。
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現場目線で建設DXをけん引
桑田 直人氏(38歳) 鹿島道路生産技術本部ICT施工推進室課長代理
道路舗装業界では情報化施工の導入が早かった鹿島道路。同社で機械系職員として最先端の技術に触れ続け、デジタルトランスフォーメーション(DX)をけん引するリーダーへと成長したのが、ICT施工推進室課長代理の桑田直人氏だ。
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兵役をきっかけにドローンに首ったけ
金(キム) キョンチェ氏(28歳) パスコ新空間技術部空間情報課
パスコはアミューズワンセルフ(大阪市)製のドローン搭載型グリーンレーザースキャナー「TDOT GREEN」(ティードットグリーン)の開発をサポートするとともに、2019年4月から販売を手掛けている。地上だけでなく、水中の地形を3次元計測できる。
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鋼橋技術者が3年でi-Conの指南役
神田 信也氏(38歳) 首都高速道路会社東京東局土木保全設計課係長
i-ConstructionやICT(情報通信技術)の取り組みを進める意欲と、それに直接関与した年数は必ずしも比例しない。そのことは、首都高速道路会社土木保全設計課係長の神田信也氏の経歴や仕事ぶりから分かる。
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若手をたきつけ挑戦させる
社内または社外には、頭角を現していない若手がまだまだいる。実力を見抜いてどう活躍してもらうか、上司の果たす役目は大きい。きっかけを与えて挑戦する場を用意することが肝要だ。若手を登用してICTやIoTを展開する地方の建設会社の好例から、若手との付き合い方を学ぶ。