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深刻化する技能継承の問題をデジタル技術で解決する動きが出始めた。国土交通省は、技能者の動きを分析して効率的な作業のコツの発見を目指す。技能者の視点を動画で記録し、データベースを作る建設会社も現れた。

 建設業界を長年悩ませてきた技能継承の問題を、デジタル技術を駆使して解決しようとする動きが巻き起こっている。人づてに伝えられてきた技能のコツを明らかにし、次世代に効率よく継承する試みだ。

 例えば、熟練技能者がウエアラブルカメラで手元の動きを撮影した動画があれば、新規入職者が作業手順を理解しやすい。浅沼組が開発した「アイマップ」は、技能者の作業映像に加え、現場内の移動経路なども記録・分析する(図1)。GNSS(衛星測位システム)のアンテナとカメラを一体化した「アイロガー」を技能者のヘルメットに装着し、鉄筋の結束作業などを技能者目線で記録した映像を蓄積し始めている。

図1■ 作業状況などを記録・分析して生産性を維持
浅沼組の資料と取材を基に日経コンストラクションが作成
浅沼組の資料と取材を基に日経コンストラクションが作成
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浅沼組の資料と取材を基に日経コンストラクションが作成
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3年続けてPRISMに選ばれたアイマップシステムの概要。アイロガーの装置の重さはカメラとアンテナを合わせて600gほど

 アイマップは、2018年度から3年続けて内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)に選定された。20年度は、橋脚にタブレット端末のカメラをかざせば作業記録の映像などが画面に表示されるシステムの実証実験を進める。

 「技能継承は業界全体の問題だ。国土交通省のデータプラットフォームなどと連携し、記録したデータを異なる会社間でも共有できるようにしたい」。浅沼組新技術事業化推進室の田村泰史課長は、こう意気込む。

 国交省も20年度に、デジタル技術を使った技能継承を模索する。ICT(情報通信技術)などをフル活用して業務の課題解決を目指す「インフラDX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環だ。

 その1つとして、コンクリート構造物の効率的な構築方法を調べる。まず、鉄筋や型枠の吊り上げに用いるクレーンに重量センサーを取り付け、その稼働率から1日の「生産量」を概算する。次に、技能者にもセンサーを装着して作業時間を記録。生産量を作業時間で割れば、その日の作業効率が求まるという算段だ。

 「日々の効率の良し悪しを数値化して、その理由を技能者にヒアリングすれば、作業のコツを聞き出せる」と、国土技術政策総合研究所社会資本システム研究室の関健太郎室長は言う。技能者の位置情報を調べれば資材加工や玉掛けといったおおよその作業内容が分かるので、ヘルメットに電子タグを装着する。

 20年度は橋脚やボックスカルバートなど10現場でデータを取得する。分析結果は広く横展開する考えだ。