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 常に振動が加わるトンネル内の配管や照明器具、標識などを確実に固定できる新工法はないか。今から5年ほど前、あと施工アンカーなど建設資材の開発や販売、施工を手掛けるケー・エフ・シーで技術部ファスニング・耐震技術室長を務める竹本幸弘は、会議室で頭を抱えていた。

 緩み止め機能を持つナットは、自社の製品を含め、世の中に多数存在する。米航空宇宙局(NASA)の振動試験で優秀な成績を残したと誇らしげにうたうナットもある。

 しかし、インフラの建設や維持管理の現場では時折、緩みなどのトラブルが発生。締め忘れやトルク不足がないかどうか、施工後に触ったり増し締めしたりして1つずつ確かめる手間を要していた。発注者などから「何とかしてほしい」という要望が竹本のもとに寄せられていた。

 締め付けトルクを適切に管理できる電動工具を開発すればよいのか。いや、駄目だ。「作業員はそれぞれお気に入りの工具を使っている。発注者や元請けの建設会社が、工具を指定して施工するのは現実的でなかった」と竹本は話す。

 その時、目に留まったのが机の上に置かれた飲料のペットボトルだ。キャップを手でねじると、下端のリングがちぎれて開封できる。「これだ」。竹本はうなずいた(写真1)。

写真1■ ケー・エフ・シー技術部ファスニング・耐震技術室長の竹本は、アンカー関連の技術開発を多数手掛ける(写真:日経コンストラクション)
写真1■ ケー・エフ・シー技術部ファスニング・耐震技術室長の竹本は、アンカー関連の技術開発を多数手掛ける(写真:日経コンストラクション)
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