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土砂災害警戒区域内のセーフティーゾーンに目を向ける必要が生じてきた。コロナ禍において分散避難や垂直避難を考える上で、欠かせなくなってきたためだ。警戒区域内の安全性を議論する上では、土砂災害のシミュレーションが鍵を握る。

 現在、土砂災害防止法に基づく災害リスクを表す尺度は、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の2つだけだ。レッドゾーンの方が危険度は高く、開発行為の許可や構造規制などが必要になる。

 基礎調査の1巡目では、災害リスクの可視化に向けて、これらの指定を急ぐことが先決だった。一方、指定の終わりが見えてくるに従って、イエローゾーンやレッドゾーンの中でも、危険度の分布を探る必要性を問う声が上がってきた。

 というのも、複数のイエローゾーンが重なって指定されている斜面地では、警戒区域外に避難所を設けると、居住区からはかなり遠くなる。長距離にわたってイエローゾーンを通る必要があることから、危険が伴う(図1)。イエローゾーン内で危険度の分布が分かれば、区域内でも比較的安全な場所へ避難所を開設できるようになる。

図1■ イエローゾーン内で詳細にリスクを分析できれば避難に役立つ
図1■ イエローゾーン内で詳細にリスクを分析できれば避難に役立つ
土砂災害警戒区域において災害リスクの濃淡を付けるイメージ。取材を基に日経コンストラクションが作成
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 新型コロナウイルスの感染症拡大で、避難所での密集を避けなければならない状況も出てきた。イエローゾーン内にある自宅が比較的安全だと分かれば、2階への垂直避難で事足りる可能性があるからだ。