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神奈川県逗子市で、登校中の女子高生が巻き込まれた民地の土砂災害。斜面管理の瑕疵を焦点に、マンションの区分所有者が告訴される事態に発展した。一方、国は道路管理者に対して、道路沿いの危険斜面の特定を急がせている。
2020年2月、神奈川県逗子市池子2丁目にあるマンション「ライオンズグローベル逗子の丘」の敷地内の斜面が崩れて、隣接する市道を歩いていた女子高生(当時18歳)が土砂に埋もれて亡くなった(写真1)。
斜面の高さは約16m。市道から80度の勾配で8.2mの高さまで擁壁が立ち、その上に植生で覆われた土が60度の角度で自立していた。
衝撃的だったのが、直接的な原因が雨や地震ではない点だ。国土交通省国土技術政策総合研究所は同年3月、調査結果を発表。「風化を主因とした崩落」と結論づけた。基岩部の凝灰岩が深さ1mほどまで風化して、崩れたとみられる。県が11年に急傾斜地の土砂災害警戒区域に指定していた範囲だ(図1)。
この事故から4カ月後には、女子高生の遺族がマンションの管理会社である「大京アステージ」側を業務上過失致死の疑いで告訴した。区分所有者らも被告となっている。
危険の予兆はあったのか、また管理会社側は把握していたのか──。神奈川県横須賀土木事務所によると、管理会社側から事前に危険を察知していたとみられる言動があった。