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産業廃棄物のように、建設残土を発生源から処分先まで追跡するシステムが開発された。スマートフォンとICカードを利用する簡易なシステムなので、小規模現場への普及が期待できる。一方で、官民の間で建設残土を融通して活用を図るマッチングシステムのてこ入れも進む。

 残土処分を巡るトラブルを防ぐには、指定した場所に確実に搬入しているか、しっかりチェックすることが欠かせない。国土交通省は2020年9月30日、建設リサイクル推進計画を6年ぶりに改定。今回の計画で、新たに取り組む施策として「建設発生土のトレーサビリティーシステムなどの活用」を追加した。

 現状では、残土を運ぶダンプトラックの運転手に紙伝票を渡して管理する方法が一般的だ(写真1)。日々の残土の搬出量は、現場の担当者が紙に記録していく。ICT(情報通信技術)を活用したトレーサビリティーシステムを導入すれば、不適切な投棄を防げるだけでなく、現場作業の効率化にもつながる。

写真1■ 建設残土の搬出について手書きでまとめた記録。右は、残土の搬出入で使う伝票の例(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 建設残土の搬出について手書きでまとめた記録。右は、残土の搬出入で使う伝票の例(写真:日経コンストラクション)
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 既に一部の大規模現場では、トレーサビリティーシステムを導入している。例えば、阪神高速道路会社は大和川線のシールドトンネル工事で発生する建設汚泥の搬出に、ETC(電子料金収受システム)の技術を使ったシステムを導入した。

写真2■ 「SS-TRACE SYSTM」の試行の様子。近畿地方整備局発注の道路工事で(写真:森長組)
写真2■ 「SS-TRACE SYSTM」の試行の様子。近畿地方整備局発注の道路工事で(写真:森長組)
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 しかし、こうした大掛かりなシステムの導入は、大規模な現場でないと難しい。そこで、先端建設技術センターは、鹿島、日本能率協会総合研究所、前田建設工業と共同で、スマートフォンを利用する簡易な仕組みの「SS-TRACE SYSTM」を開発した。

 必要なハードウエアはスマートフォンとICカードだけだ。残土の搬出現場と受け入れ現場で、それぞれ出入り口にいる担当者がNFC(近距離無線通信)に対応したスマートフォンを、トラックの運転手が非接触型のICカードを持つ。搬出時と搬入時にそれぞれICカードをスマートフォンにかざして、トラックの行き先を管理する仕組みだ(図1)。

図1■ ICカードとスマホで残土を追跡
図1■ ICカードとスマホで残土を追跡
建設発生土のトレーサビリティーシステム「SS-TRACE SYSTEM」の概要。トラックの運転手がICカードを持ち、残土の搬出元と受け入れ先がそれぞれNFC(近距離無線通信)に対応したスマートフォンを用意。搬出時と搬入時にそれぞれICカードを読み取って残土を管理する。先端建設技術センターの資料を基に日経コンストラクションが作成
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 スマートフォンで読み取った情報は、無線のネットワークを介してサーバーに送られ、日々の残土搬出の記録が蓄積される。

 既に民間の建築工事で実証実験を行ったほか、国交省の関東、中部、近畿の各地方整備局の現場でも試行が進んでいる。

 ただし、まだ課題もある。同システムの開発に協力した土工事会社、ホクリク(東京都足立区)の野口研二社長は「全ての受け入れ先がこのシステムを入れれば紙は不要になる。しかし今のところ、スマホを持った当社社員が、受け入れ先で待機していないといけない」と話す。

 先端建設技術センターではシステムを改良したうえで、21年度から同センターの運営でサービスを開始する計画だ。「料金は未定だが、トラックの発着1回当たり100円を下回るようにしたい」(先端建設技術センター企画部の高野昇参事役)