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 「平穏な暮らしを返してほしい」。東京都調布市の住宅地。あちこちでボーリング調査の音が響くなか、住民は不安を募らせている(写真1)。

写真1■ 陥没後、周辺ではボーリング調査などが続く。地中の空洞などは今後も見つかる可能性がある。東京都調布市東つつじケ丘2丁目で2020年12月上旬に撮影(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 陥没後、周辺ではボーリング調査などが続く。地中の空洞などは今後も見つかる可能性がある。東京都調布市東つつじケ丘2丁目で2020年12月上旬に撮影(写真:日経コンストラクション)
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 住宅地を通る市道が幅3m、長さ1.5m、深さ5mにわたって陥没したのは2020年10月18日。陥没穴は地中で幅6m、長さ5mの大きさに広がり、一部は宅地の下に達した(図1)。

図1■ 住宅前に深さ5mの穴

20年10月18日午前9時30分。付近を巡回中の工事関係者が舗装のくぼみと水たまりを発見
20年10月18日午前9時30分。付近を巡回中の工事関係者が舗装のくぼみと水たまりを発見
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午前11時50分。舗装に亀裂が生じる
午前11時50分。舗装に亀裂が生じる
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午後0時30分。陥没を確認
午後0時30分。陥没を確認
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午後1時。陥没箇所から直径25cmの下水道管が見える。この後、砂で埋め戻して応急復旧した。シールド機は事故当時、陥没地点から130mほど北まで進んでいた(写真:東日本高速道路会社)
午後1時。陥没箇所から直径25cmの下水道管が見える。この後、砂で埋め戻して応急復旧した。シールド機は事故当時、陥没地点から130mほど北まで進んでいた(写真:東日本高速道路会社)
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 陥没地点の47m下にある大深度地下では、東京外かく環状道路(外環道)の南行き本線トンネルの工事が進んでいた。東日本高速道路会社が発注し、鹿島・前田建設工業・三井住友建設・鉄建建設・西武建設JVが施工。陥没の1カ月ほど前、国内最大となる外径16.1mの泥土圧式シールド機が南から北に向かって通過したばかりだった(図2)。

図2■ 大深度まで砂層が広く分布
図2■ 大深度まで砂層が広く分布
シールド機が東久留米層内の砂れき層を掘削した際は、カッターが目詰まりするトラブルが発生。鹿島JVは起泡剤の濃度を上げるなどして対応した。東日本高速道路会社の資料に日経コンストラクションが加筆
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 東日本高速と鹿島JVは事故後、周辺でボーリングや音響トモグラフィーなどによる調査を実施。陥没地点の南北2カ所で土かぶり5mほどの深さに長さ27~30m、高さ3~4mほどの細長い空洞があるのを20年11月に相次いで見つけた(図3)。いずれもシールド機が掘進したほぼ真上に当たる。

図3■ 陥没箇所の前後に2カ所の空洞が相次いで見つかる
図3■ 陥没箇所の前後に2カ所の空洞が相次いで見つかる
東日本高速や鹿島JVは事故後、空洞内にたまった地下水などを調査。大雨が降らなかったこともあり、地下水の流向に明確な傾向は見られなかったという。両社は20年12月上旬時点で、シールド機による土砂の取り込み量などの施工データは「精査中だ」として公表していない。東日本高速道路会社の資料に日経コンストラクションが加筆
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