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 地質が想定外だった──。切り土や掘削を伴う施工トラブルの原因として、たびたび耳にする言葉だ。事前調査に投じられる費用には限りがあるため、やむを得ない面はある。

 しかし、富山県で橋脚の施工中に起こった法面崩落は、橋の設計の見直しを迫るなど、その“代償”も想定外だった。法枠工などで対策を講じていたものの、地下に広がるリスクの全貌を捉えきれていなかった。

 崩落したのは、国道41号と並行して流れる神通川とに挟まれた急傾斜の法面だ(写真1)。その下方で、国道41号と神通川の対岸をつなぐ片掛橋の橋脚基礎工事を進めていた。

写真1■ 構築中の橋脚に崩落土が流れ込んだ(写真:国土交通省富山河川国道事務所)
写真1■ 構築中の橋脚に崩落土が流れ込んだ(写真:国土交通省富山河川国道事務所)
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 片掛橋は4径間連続プレストレスト・コンクリート(PC)ラーメン形式で、完成すれば長さ359mとなる。国土交通省北陸地方整備局が建設を進めている国道41号のバイパス「猪谷楡原道路」の一部だ。戸田建設が橋脚などの工事を受注した。

 その橋脚基礎の上部の法面が2020年4月、突如として崩れた。約1250m3の土砂が流出し、構築した土留めの内側が多量の土砂で埋め尽くされた。けが人はいなかったものの、法面上部を通る国道41号は通行止めを余儀なくされた。

 北陸地整は崩落後、「国道41号片掛地区法面崩落対策検討委員会」を設立。原因究明や恒久対策のため、計16カ所のボーリング試験などで、現場の地質を再調査した。

 その結果を受けた北陸地整は、法面が再び崩落するリスクを避けるため、構築中だった橋脚を廃止すると決定。その分だけ、桁の支間長を延ばして設計し直す(図1)。崩れた法面の上側に建設予定だった橋台の位置も、地盤の安定性を踏まえて再検討する。支間長は当初計画の166mから数十メートルほど長くなる見込みだ。上部工の工事は未発注だった。

図1■ 造りかけの橋脚を廃止して橋桁を延長することに
図1■ 造りかけの橋脚を廃止して橋桁を延長することに
橋台の位置も地質構成を踏まえて見直す。1-1断面を図2に示す(資料:国土交通省富山河川国道事務所)
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