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 2020年4月2日、国土交通省九州地方整備局が発注した宇土道路城塚橋の下部工事で、3人が死傷する事故が発生した。工事を受注した緒方建設(熊本県菊池市)の1次下請け、九建総合開発(熊本市)の作業員だ。

写真1■ 死傷した3人の作業員は、写真右下のトレーラーで現場に搬入した100tクレーンのブームを、中ほど左端の70tクレーンで吊り上げようと玉掛けしていた(写真:共同通信社)
写真1■ 死傷した3人の作業員は、写真右下のトレーラーで現場に搬入した100tクレーンのブームを、中ほど左端の70tクレーンで吊り上げようと玉掛けしていた(写真:共同通信社)
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 3人は場所打ち杭の施工に使う100t吊りクレーンの組み立てを進めていた。同クレーンは複数の部材に分けて施工現場に搬入する。トレーラーで運んできた長さ約12mのクレーンのブームを荷台から吊り上げる際に事故は起きた。

 3人はトレーラーの荷台上に積んだブームに乗り、組み立て作業のために用意した70t吊りクレーンのフックへ玉掛けしようとしていた。するとブームがバランスを崩した。

 危険を感じてとっさに飛び降りた作業員らの上にブームが落下。30代の作業員1人が死亡し、他の2人も大腿骨を折るなど負傷した。

 九州地整八代河川国道事務所は、ブーム落下の主な原因は2つあったとみる。1つはブームを縛っていたワイヤを玉掛けの完了前に解いたこと。もう1つはブームを100tクレーンのカウンターウエートの上に不安定な状態で積み重ねていたことだ。

 熊本労働基準監督署は20年9月、九建総合開発と同社の職長を、労働安全衛生法などへの違反容疑で書類送検した。荷台にクレーンの複数の部材を積み重ねて、荷締めしていたワイヤを玉掛けの途中で解けば、荷崩れしやすくなるのは道理だ。九建総合開発の職長は、作業員がクレーンの部材を安全に扱っているかどうかを確認しなかった疑いがある。

 九州地整は20年10月、緒方建設を2週間の指名停止措置とした。下請けに安衛法を守らせる指導が不十分だったと見なした。