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 流域の自治体や企業、住民などあらゆる関係者が協働して水害を防ぐ「流域治水」。そのうち早急に実施すべき対策をまとめた「流域治水プロジェクト」を、全国の1級水系で2021年3月末までに策定する(図1)。

図1■ 流域治水プロジェクトと並行して河川整備計画の見直しも
図1■ 流域治水プロジェクトと並行して河川整備計画の見直しも
今後の水害対策の進め方。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 基本的には水系ごとに作成するが、規模の大きな水系では上流・下流や支流などで分ける。国土交通省の河川事務所や流域自治体などでつくる全国118の流域治水協議会が、策定に向けた検討を進めている。

 流域治水の取り組みが本格化したきっかけは、19年10月の東日本台風(台風19号)だ。阿武隈川や那珂川などが氾濫し、東北地方と関東甲信地方に多大な被害をもたらした(写真1)。洪水を河道内に抑え込む従来の対策だけでは限界があることを改めて浮き彫りにした。

写真1■ 2019年10月の東日本台風で氾濫した那珂川(写真:国土交通省)
写真1■ 2019年10月の東日本台風で氾濫した那珂川(写真:国土交通省)
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 東日本台風を受け、国交省は20年1月、特に被害が大きかった7水系で、流域の自治体と共に進める「緊急治水対策プロジェクト」を発表した。総事業費は約5424億円に上る。河道掘削や堤防整備、遊水地の造成などを実施する。

 緊急治水対策プロジェクトの発表とほぼ同時期に、国交省は「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」に着手した。20年7月に公表した同プロジェクトの取りまとめで、主要な10施策を列挙。その筆頭に、流域治水への転換を挙げた。これを受け、各水系で協議会を立ち上げて、流域治水プロジェクトの検討を始めた。

 流域治水プロジェクトは、緊急治水対策プロジェクトの7水系も含む。緊急治水対策では事業期間を5~10年と定め、東日本台風で被災した箇所の復旧を中心に進める。一方、流域治水では中長期的な視点で取り組みをまとめるので、事業期間や事業費などは定めない。

 国交省は、総事業費15兆円程度を予定する21年度からの国土強靱化5カ年加速化対策などを活用して、流域治水を推進していく。

 国交省は併せて、気候変動を踏まえた河川整備計画の見直しも進める。当面は、現行の整備計画に基づいて流域治水プロジェクトなどを実施。その後、河川整備計画を変更し、第2段階として新たな計画に沿った治水対策を推進する。