全845文字

 土木構造物の自動設計が近年、3次元図面の普及や人工知能(AI)技術の進展などを受けて実現し始めた。

 設計自動化の方向性は大きく分けて3つある。(1)事前にプログラムを組み込んでルールを定め、個別の構造計算や作図を省く(2)設計ソフトウエアによる検討結果をリアルタイムで図面に反映する(3)既存の設計ソフトウエアを使った反復検討をAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で処理する──だ(図1)。2021年は、比較検討が必要な概略設計や予備設計を中心に、それぞれの手法で開発や実装が進むとみられる。

図1■ 設計を自動化する手法は大きく分けて3パターン
図1■ 設計を自動化する手法は大きく分けて3パターン
複数の構造パターンで比較検討が必要な概略設計や予備設計で先行して導入が進むとみられる。取材を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 プログラミングによる設計自動化を実現するツールの1つが、ダッソー・システムズのCATIA(キャティア)だ。例えば、鉄筋コンクリートの橋脚の構造を検討する場合、まずは鉄筋間隔やかぶり厚などの規則をプログラムとして組み込んだ3次元のパラメトリックモデルを作る。ここに、フーチングの寸法といった数値を入力すると、配筋ルールなどを成立させながら自動で3次元モデルを作製・変更できる。パシフィックコンサルタンツは、橋や砂防ダムの設計で導入を始めている。

 一方、従来型の設計ソフトを3次元CADと連動させて比較検討や作図の効率化を図るのが、川田テクノシステムだ。自社の3次元CADソフトに、他社ベンダーが開発した設計ソフトと連携する機能を実装。設計ソフトでボックスカルバートの構造計算をして部材厚などを決めると、結果を即座に3次元図面に反映できるシステムを構築した。

 既存の設計ソフトの操作を自動化するアプローチにも注目だ。アンタス(札幌市)はAIとRPAを組み合わせて、擁壁設計を自動化した。

 RPAとは、パソコン上の反復作業を自動で処理するプログラムのこと。このRPAが設計ソフトを操り、滑り面などのパラメーターを自動で入力して構造計算を実施。コストや安全性が最適な結果に収束するまで繰り返す。入力する初期条件は、過去の設計成果を学習させたAIが決める。収束に要する時間を短縮した。