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 大規模な自然災害の頻発を受けて、スマートフォンから人工衛星まであらゆる技術を駆使して災害対応の効率化や高度化を目指す「防災テック」に期待が集まっている。

 防災テックを普及させる起爆剤として、内閣府などは2021年度に「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を設立する(図1)。民間企業が保有する技術と自治体のマッチングを促して実証実験を後押しする狙いだ。20年6月に内閣府の「防災×テクノロジータスクフォース」が施策の1つとして公表した。

図1■ 内閣府が省庁横断で技術活用策をまとめる
図1■ 内閣府が省庁横断で技術活用策をまとめる
内閣府が省庁横断の「防災×テクノロジータスクフォース」で取りまとめた施策。 2021年度に「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を立ち上げ、自治体の新技術導入を後押しする。内閣府の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 まず実証や導入が進むとみられるのが、スマホのアプリやSNS(交流サイト)の書き込みを基に市民から膨大な情報を集め、それを人工知能(AI)で分析・整理する技術だ。

 例えば、ウェザーニューズなどが内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参加して開発した「防災チャットボット」。コミュニケーションアプリのLINEを通じて、自治体やインフラ関連企業などの防災担当者と被災者が相互に連絡できる(図2)。三重県など複数の自治体での実証実験の成果を踏まえて、21年度に全国で販売を開始する。

図2■ 人工知能が被災者の報告を分析して被害状況を整理する
図2■ 人工知能が被災者の報告を分析して被害状況を整理する
左はLINEのアプリを通じて、住民がスマートフォンで被害状況を登録する様子。右は集めた情報を分析したシステム画面。人工知能が住民の報告コメントを分析し、被害の内容などを地域ごとに分類して集計。自治体の防災担当者などを支援する。被災者に直接連絡するプッシュ通知で、より詳細な情報を求めたり避難を促したりといった用途でも使う(資料:ウェザーニューズ)
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 被災者がLINEを使って自身や周辺の状況を文章などで入力すると、AIがその内容からキーワードを抽出して分析する。「浸水・冠水」「建物被害」「倒木」といった分類に自動で仕分けて、クラウド上の地図に落とし込む。防災担当者は、被害の分布や度合いを早期に把握できる。

 対策を講じるための情報が足りない場合は、被災者に直接状況を聞くプッシュ通知も可能だ。さらに、被災者に対しては、罹災(りさい)証明書など必要な書類を自動で案内する。自治体が発する避難情報やハザードマップといったリスク情報と位置情報などを組み合わせ、適切なタイミングで避難を促す機能の実装も進める。

 建設会社や建設コンサルタント会社による災害対応のアップデートにもつながる。例えば、倒木があって道路が塞がれたと住民の報告があった場合。付近で橋の応急対策をしている建設会社と情報を共有して、まとめて復旧工事を担ってもらうといった使い方が考えられる。