
自宅に居ながら、パソコンやスマートフォンを使って遠く離れた現場の重機を操作し、施工する。こんな光景を見られる時代が意外に早く訪れるかもしれない──。そう思わせるのが、ARAV(アラブ、東京都文京区)が開発した遠隔操作技術だ。
最大の特徴は、一般的なインターネット回線を介して建機を遠隔操作できる点にある。自宅でのテレワークによる操作も可能だ。インターネットを使える環境であれば距離の面で制限はない(図1)。
既存の建機を改造し、必要な機器を後付けして遠隔操作できるようにする。一部、対応しない方式の建機もあるが、基本的には機種やメーカーを問わず幅広く適用できる。
創業者の白久レイエス樹氏(写真1)は、「高専ロボコン」の全国優勝の経験を持つロボティクス技術のエキスパートだ。2018年に乗用車用の後付け型自動運転システムの開発に成功。これが建設関係者の目に止まり、「建機を自動化・遠隔操作化する技術の開発に力を貸してほしい」と声が掛かった。白石氏はそれに応える形で20年4月にアラブを立ち上げた。
インターネットを介し、様々な端末で建機を遠隔操作する技術は、「Web RTC」(Web上のリアルタイムコミュニケーション)や「H.264」(映像圧縮)、「4G/LTE」(データ送信)など汎用技術を組み合わせ、建機用システムに最適化、実装した。