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  • 土木やBIM/CIMに精通したスタッフが一気通貫でサポート
  • 創業から半年で受注実績は50件以上

 2023年度から、小規模を除く全ての公共工事にBIM/CIMが原則適用される。3次元モデルの扱いが必要とされるなか、デジタル化にうまく対応できず、焦る建設コンサルタント会社や建設会社は少なくない。そうした悩める企業への支援サービスを提供するのが、21年2月に創業したスタートアップ企業のMalme(マルメ、東京都千代田区)だ。

 同社は、大手建設コンサルタント会社出身の高取佑代表(資料1)と野田敏雄氏が起業。建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の支援サービスを手掛けている。なかでも、土木分野のBIM/CIM活用業務へのトータルサポートを得意とする。

資料1■ 高取佑代表。大手建設コンサルタント会社でODA(国際開発援助)関連の業務などに携わった後、スタートアップ企業での勤務を経て、2021年にマルメを創業した。自ら掲げたミッションは「日本の土木をアップデートする」だ(写真:Malme)
資料1■ 高取佑代表。大手建設コンサルタント会社でODA(国際開発援助)関連の業務などに携わった後、スタートアップ企業での勤務を経て、2021年にマルメを創業した。自ら掲げたミッションは「日本の土木をアップデートする」だ(写真:Malme)

 高取代表は自社の強みについて、「土木設計や施工現場でのICT(情報通信技術)活用の経験を基に、顧客の業務にとことん寄り添えることだ」と分析する。

 現在のICT施工の現場では、発注者が提供した3次元データをICT建機が読み込めず、結局、施工者がデータを作り直すといった手戻りが発生するケースが少なくない。そこで同社は顧客と共に、ICT建機がそのまま読み込める品質の3次元設計データを作成する。

 サービスの原点は、高取代表が以前に経験した苦い思いにある。ドローン測量を基に作成した3次元設計データが、「これではICT施工の現場で全く使えない」と、ダメ出しを食らったのだ。

 原因は、3次元測量で取得した点群データを従来の2次元測量と同じ要領で運用したり、基盤データに国土地理院の粗いデータを使用したりしたことだった。高取代表はこの教訓をマルメのサービスに反映。「BIM/CIM実施支援」「BIM/CIMヘルプデスク」などのメニューを展開している。

 前者では、BIM/CIMを伴う設計業務や工事を担う監理技術者を対象に、企画提案から成果品の納品までを一気通貫で伴走支援する(資料2)。作業着手時に3次元モデルの用途や要件を確認。そのうえで、設計検討資料の作成や最適な測量手法による3次元データの取得、設計思想や後工程のICT施工にも配慮した3次元モデリングなどをサポートし、質の高い成果品へと導く。

資料2■ BIM/CIMを単なる設計の3次元化に終わらせない
資料2■ BIM/CIMを単なる設計の3次元化に終わらせない
マルメの提供サービス「BIM/CIM実施支援」のフロー。BIM/CIMや施工に精通する強みを武器に、顧客が手掛けるBIM/CIM活用業務などを技術提案から納品まで伴走支援する(資料:Malme)
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 後者は、3次元設計技術者を育成する管理職向けのヘルプデスクだ。3次元モデリングのスキル向上に関する顧客の困りごとに、エキスパートスタッフが情報共有クラウドを介してリアルタイムで応じ、顧客のBIM/CIM業務の内製化を支援する。