- 建設業が抱える課題を3Dプリンターで解消する未来を描く
- 3Dプリンターで製作した集水升を民間工事で本設として採用
3次元データに基づき、樹脂やコンクリート、金属を積層して物体を造形する3Dプリンターが、建設業でも使われ始めている。本設への適用は海外での事例が先行するものの、日本にも3Dプリンターを実施工で活用しようとするスタートアップ企業がある。2019年に創業したPolyuse(ポリウス、東京都港区)だ。
ポリウスは、建設用に特化した3Dプリンターの開発や、それに付随する技術サービスを手掛ける。企業コンセプトは「建設業界をテクノロジーの力でアップデートする」。3Dプリンターで、業界が抱える様々な課題の解決を目指す(図1)。
同社の起業当初の目標は、3Dプリンターによる住宅建設だった。だが、地方の建設会社や有識者との意見交換で「職人不足で現場を回しにくい」「財政難で公共事業の進捗が芳しくない」といった、業界を取り巻く課題を認識。まずは、こうした課題の解決に3Dプリンターを役立てたいと、事業計画を修正した。
大岡航代表取締役は当時の思いをこう語る(写真1)。「防災工事や老朽インフラの維持補修の遅れは、人々の安心・安全を脅かす。3Dプリンターで施工の省力化や省人化、建設費の削減を実現できれば、課題解消への貢献に加えて3Dプリンターが現実的な技術として認知され、普及拡大につながると考えた」
