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2006年度から、橋梁の直営点検・診断に取り組んでいる高知県。14年度に近接目視点検が義務化された後も、2割強の橋で直営を続ける。自治体が自ら点検を手掛けるメリットを、直営化の先駆者の取り組みに見る。

 国土交通省の「道路メンテナンス年報」によると、2019年度に自治体が直営点検を実施した橋梁数は全体の16%だ。前年度の13%から微増となった。建設コンサルタント会社などへの点検の委託費用を抑えて、補修に回そうという自治体が徐々に増えている。

 中でも、橋梁の直営点検にいち早く取り組み始めたのが高知県だ。全国的にインフラの維持管理の機運が高まってきたのは、12年12月に起こった笹子トンネルの天井板崩落事故以降。だが、県はそれよりもずっと前の06年度から、直営点検を続けている。

 県では橋梁などの維持管理費用による財政の圧迫を懸念して、04年度に橋梁の民間協会や県、高知工科大学の有識者などから成る「道路アセットマネジメント検討委員会」を設立した。

 しかし、当時は日常的なパトロールがほとんどで、橋の損傷を正確に評価した記録がないために、アセットマネジメントサイクルの構築が難しかった。そこで、定期点検に要するコストの削減などを目的に始めたのが、職員による点検だ。当時は近接目視が難しい箇所は遠望目視としていた。

 現在、高知県土木部に所属する技術職員は約400人。出先の事務所を加えると700人に上る。「事務所によっては改築や維持の部署に関係なく、技術職全員で点検に関わっている」と、高知県土木部道路課の宮中道太チーフは話す(写真1)。

写真1■ 高知県中央東土木事務所管内の橋を県職員が点検している様子(写真・資料:高知県)
写真1■ 高知県中央東土木事務所管内の橋を県職員が点検している様子(写真・資料:高知県)
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