全1729文字
PR

様々な担い手がインフラを維持管理する時代になり、担い手の質をどう確保するかが課題となる。無資格者や研修の未受講者などに点検させている自治体はまだ多く、改善の余地がありそうだ。管理者である自治体職員の技術力向上も、併せて解決しなければならない。

 直営化、民間企業の活用、住民の参加、大学との連携──。維持管理に先進的な自治体は様々な方法を模索していた。共通しているのは、どの自治体も1つの担い手に依存しているわけではないという点だ。

 例えば、橋梁補修の直営化で第3回インフラメンテナンス大賞を受賞した熊本県玉名市では、発注方式で工夫しながら地元の建設会社などの力にも補修を頼っていた。

 長崎大学と連携している長崎市は、多くの橋梁を建設コンサルタント会社に委託しながら、大学に点検・診断の技術者育成を求め、職員の能力向上を欠かさなかった。

 運営権を委託するコンセッション事業などを除くと、基本的にインフラ管理の権限は役所側にある。その意味では、民間企業や住民に維持管理をお願いしても、管理者側の職員の研さんは必要だ。

 そこで、多くの自治体は直営点検などを実施しながら職員の技術力の向上を図ろうとしている。一方で「技術者が不足していて、1人当たりで担当する橋が多過ぎる。橋の維持管理の専任でもないため、自分たちでの点検や補修は不可能だ」という声が職員からは聞こえてくる。

 ただ日経コンストラクションの分析によると、全橋を委託点検している自治体で必ずしも技術者が不足しているわけではないと分かった。国交省国道・技術課の道路メンテナンス室から、道路メンテナンス年報で掲載している調査データの詳細を提供してもらい、独自に分析した。

 橋梁管理に携わる土木技術者の数を横軸、管理する橋梁数を縦軸に設定し、直営点検と委託点検を実施している自治体ごとに分けて、数値をプロットした(図1)。

図1■ 直営でも委託でも技術者1人当たりの橋の数は変わらず
図1■ 直営でも委託でも技術者1人当たりの橋の数は変わらず
国土交通省から「道路メンテナンス年報2020」の詳細な調査結果を提供してもらい、日経コンストラクションが分析して作成した。橋梁数の回答がなかった7自治体は省いている
[画像のクリックで拡大表示]

 技術者1人当たりの平均橋梁数は、直営点検を実施している328の自治体が61.4(橋/人)、全てを委託している1453の自治体は62.5(橋/人)だった。橋梁数と技術者数との間に相関は見られず、「技術者が少ないから直営化は難しい」とは言い切れない。