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土木系の資格は出題範囲が広範囲にわたる場合が多い。効率良く短期集中で勉強することが合格への近道だ。1級土木施工管理技士の実地試験対策講座で受講者の合格率71%をたたき出した合格請負人に秘訣を尋ねた。

 指導した“生徒”の合格率は71%──。首都圏の建設業協会で話題の人物がいる。徳倉建設取締役執行役員の鈴木正司技師長だ(写真1)。

写真1■ 「現場代理人に必要な21のスキル」「利益を上げる一歩上いく現場運営」(いずれも経済調査会)など、施工現場を担う若手技術者に向けた著書も多い(写真:日経コンストラクション)
写真1■ 「現場代理人に必要な21のスキル」「利益を上げる一歩上いく現場運営」(いずれも経済調査会)など、施工現場を担う若手技術者に向けた著書も多い(写真:日経コンストラクション)
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鈴木 正司(すずき・まさし)
徳倉建設取締役執行役員技師長、坂田建設技術顧問。施工管理に長年携わった後、現在は後進の育成や技術継承に力を入れる。博士や技術士、コンクリート診断士などの資格を持つ

 「合格道場 鈴木塾」と銘打った1級土木施工管理技士の実地試験対策講座。山梨県建設業協会が2019年9月に開いた鈴木塾では、県内の建設会社などから集まった受講者14人のうち、10人が翌10月の実地試験で合格を果たした。合格率71%は、全国で見た19年度実地試験の合格率45.3%を大きく上回る。

 鈴木技師長は大学を卒業後、坂田建設(東京都墨田区)に入社。高速道路をはじめとする数々の工事に携わり、建設省関東地方建設局(現国土交通省関東地方整備局)の局長表彰を受けた実績も持つ。坂田建設の土木本部長や技術本部長を経て、20年に徳倉建設へ移った。

 20年度の試験は新型コロナウイルス感染拡大の影響で日程がずれ込んだため、実地試験の結果はまだ出ていない。それでも、鈴木技師長は引き続き好成績を見込む。「徳倉建設と坂田建設の両社内で指導した10人だけでも、8、9人が合格するのではないか」(鈴木技師長)と言う。

 1級土木施工管理技士は大学の土木工学科など指定学科を卒業した後、3年以上の実務経験があれば受験できる。工事現場に配置する監理技術者を務めるために必要な国家資格の1つだ。

 人材が不足するなか、建設会社にとって若手技術者の育成は急務となっている。山梨県建設業協会は、新人の監理技術者や現場代理人向けに現場の運営方法や原価管理などを教える協会主催の講習会で講師を務めていた鈴木技師長に、試験対策の講師として白羽の矢を立てた。21年度は山梨県と神奈川県の建設業協会に加え、首都圏の他の県でも鈴木塾を開催する計画だ(写真2)。

写真2■ 1級土木施工管理技士実地試験の1カ月前となる2020年11月、山梨県建設業協会が催した「合格道場 鈴木塾」。県内の建設会社の技術者などが参加した(写真:山梨県建設業協会)
写真2■ 1級土木施工管理技士実地試験の1カ月前となる2020年11月、山梨県建設業協会が催した「合格道場 鈴木塾」。県内の建設会社の技術者などが参加した(写真:山梨県建設業協会)
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