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▲ 技術士
21年度は例年に準じた試験日程

 技術士は、科学技術に関する高度な知識と応用能力を持つ技術者を認定する国家資格だ。建設部門や上下水道部門などに加え、分野を横断して総合的な技術監理を担う技術者を認定する総合技術監理部門を合わせた計21部門がある。建設部門は受験時の選択科目に応じて、「土質および基礎」や「鋼構造およびコンクリート」など11科目に分かれる。

 技術士は最高位の資格として位置付けられることが多い。例えば、国土交通省がまとめた建設コンサルタント業務におけるプロポーザル方式などの運用ガイドラインでは、配置予定技術者に関して、技術士は博士と並んで最も高く評価するよう求めている。

 試験は択一式の第一次試験と、筆記と口頭を組み合わせた第二次試験の2段階。日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定を受けた大学の学科などを卒業していれば、一次試験は免除される。

申込期限延ばし“再挑戦”に対応

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年度の第二次試験の筆記試験は当初予定していた20年7月から9月に変更。11月下旬に始める予定だった口頭試験は21年2月上旬から3月中旬の期間に変わった。最終の合格発表は、年度をまたいだ4月下旬にずれ込む。

 技術士の試験制度が変更になった19年度における建設部門の筆記試験の合格率は10.5%で、変更前の18年度と比べて3.9ポイント上昇した。20年度の筆記試験の出題内容は、19年度をほぼ踏襲したものだった。

 21年度の第二次試験は、例年に準じた日程に戻す。筆記試験は21年7月に、口頭試験は12月から22年1月にかけて実施する。受験申込期限は21年4月19日。20年度の口頭試験で不合格になった受験者が21年度に再挑戦する場合、申込期限を5月13日まで延ばす。

■ 技術士第二次試験の科目別合格率
■ 技術士第二次試験の科目別合格率
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■ 技術士第二次試験の概要
■ 技術士第二次試験の概要
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▲ RCCM
試験日程と方法を調整中

 RCCM(シビルコンサルティングマネージャ)は、難関の技術士に代わる資格として建設省(現国土交通省)が創設を促した民間資格だ。河川や道路など22の専門技術部門に分かれ、建設コンサルタント業務に携わる管理技術者や照査技術者、担当技術者の能力を認定する。

 国交省が一定水準の技術力などを有する民間資格を「国土交通省登録資格」として登録する制度では、RCCMの全22部門のうち14部門が、延べ53分野で登録されている。資格者が点検・診断業務や設計業務を手掛ける場合、総合評価落札方式の入札で加点されるなどの利点がある。

 20年度の試験は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため中止。登録更新講習などはウェブで受講可能な体制を整えた。21年度の試験は日程や実施方法を調整中。決定次第、ホームページなどで発表する。

■ RCCMの概要
■ RCCMの概要
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▲ 土木学会認定土木技術者
2級の認定証を随時交付

 土木学会が認定する民間資格。試験では、土木工学の知識や技術がどの程度、身に付いているかを試す。会員以外でも受験でき、特別上級、上級、1級、2級の4階層がある。1級以上は10程度の分野に分かれる。国交省の技術者資格登録制度では、上級と1級が幅広い分野で登録されている。

 書類審査と筆記試験、口頭試問を組み合わせて実施する。上級と1級は、筆記試験による分析力や総合力の評価に重点を置いた「コースA」と、口頭試問による実務経験の評価に重点を置いた「コースB」がある。

 20年度の試験は受験者数が大きく減ることなく、予定通り実施した。21年度以降もコロナ禍を想定した筆記試験の運営や口頭試問の方法について対策を検討している。試験を通年実施する2級は、各自の申請に応じて認定証を随時交付できるように運用を変更。試験合格から認定までの期間を実質的に短縮した。

■ 土木学会認定土木技術者の概要
■ 土木学会認定土木技術者の概要
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