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設計変更などで増えた工事費の支払いを巡り、受発注者間でトラブルになることがある。受注者は正当な金額を受け取る権利を持っているが、その行使には自ら能動的に契約上の手続きを踏む必要がある。発注者の良心を当てにするのは甘い。

 工事に着手後、設計段階で分からなかった現場の状況や環境の変化などに対応するため、施工者が作業内容の変更や、作業の追加を余儀なくされることがある。そうなると、契約時に見込んでいなかった追加工事費が発生する。

 施工者は発注者と比べて立場が弱いと思われがちだが、関係法令や、公共工事でよく使用される標準請負契約約款では、実働に見合う代金を発注者から受け取る権利を保証している。

 発注者が不当に安い代金で工事をさせれば建設業法違反に該当する。契約約款では、発注者が着工後の設計変更で施工者に損害を与えた場合、必要な費用を負担しなければならないと明記している(資料1)。

資料1■ 法令・契約上、追加工事の骨折り損はあり得ない
資料1■ 法令・契約上、追加工事の骨折り損はあり得ない
国土交通省は建設業法と同法に基づくガイドラインや公共工事標準請負契約約款で、施工者が追加工事で相応の代金を受け取る権利を保証している。しかし、契約上の手続きを誤ると、「権利の上に眠る」ことになる(資料:国土交通省)
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 にもかかわらず、追加工事費を巡る様々なトラブル事例を見ると、施工者はこの権利を必ずしも行使できていない。それは施工者自身にも責任がある。まずは追加費用を巡るトラブル事例を2つ紹介しよう。どちらも施工者にとって苦い経験となった。