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大地震が起こったわけでもないのに、支承が破損した舞鶴クレインブリッジ。調査の結果、砕けたローラー自体に製造時から問題があった可能性が高いと分かった。同じメーカーの他の支承でも同様の不具合が生じる恐れがあるが、使用実態は不明だ。

 支承の鋼製ローラーが砕ける想定外の事故に見舞われたのが、「舞鶴クレインブリッジ」(京都府舞鶴市)だ。橋を管理する舞鶴市の職員が2020年9月、ローラー上の下沓(したしゅう)が傾いているのを見つけ、破損が判明した(写真12)。

写真1■ 下沓が傾いたP2橋脚上の支承。手前に見えるのは、ローラーが2本とも砕けた南側の支承(写真:舞鶴市)
写真1■ 下沓が傾いたP2橋脚上の支承。手前に見えるのは、ローラーが2本とも砕けた南側の支承(写真:舞鶴市)
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写真2■ 南側の支承で壊れたローラー。割れた面には腐食が広がっており、以前からひび割れが進行していたと分かる(写真:舞鶴市)
写真2■ 南側の支承で壊れたローラー。割れた面には腐食が広がっており、以前からひび割れが進行していたと分かる(写真:舞鶴市)
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 舞鶴湾を東西に横切る同橋は、1999年に完成した長さ735mの橋だ。そのうち延長672mが、3径間鋼斜張橋となっている(写真3)。壊れたのは、西側のP2橋脚上にある2基のピボットローラー支承だ。

写真3■ 舞鶴クレインブリッジ。発電所建設のための工事用道路として関西電力が建設し、完成後に舞鶴市へ移管した(写真:玉田和也・舞鶴高専教授)
写真3■ 舞鶴クレインブリッジ。発電所建設のための工事用道路として関西電力が建設し、完成後に舞鶴市へ移管した(写真:玉田和也・舞鶴高専教授)
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 この支承は、橋軸方向の動きに追随する直径125mm、長さ635mmのローラー2本の上に下沓が載り、その上に球面状のピボットを介して上沓(うわしゅう)がかぶさる。2基の支承のうち、北側の支承の西側ローラーと南側支承のローラー2本の計3本が壊れた(図1)。ローラーは全て真っ二つに割れ、一部がさらに砕けていた。

図1■ 支承内部のローラーが破損
図1■ 支承内部のローラーが破損
舞鶴市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 2019年12月の定期点検で、健全度は4段階で高い方から2番目のIIだった。支承には、保護用のカバープレートが付いていて、定期点検の近接目視でローラーの様子はうかがえない。点検時に下沓は傾いていなかった。

 建設から20年以上たっているとはいえ、支承の部材が砕ける事態は異常だ。市はまず、設計ミスがなかったかを調べた。当時の資料を基に、支承の設計計算を照査。しかし、ミスは見つからなかった。ケーブル張力の計測結果にも問題はなく、支承に異常な力がかかった形跡はない。

 最も有力とみられる原因は、ローラー自体にあった。破損したローラーを軸直角方向に切って断面を調べたところ、外周部から中心に向かって、長さ10~20mmのひび割れがほぼ等間隔に並んでいたのだ(写真4)。鉛直荷重が原因ならば、全周にわたって均等にひびが入るのは不自然だ。

写真4■ 破損したローラーの断面。ひび割れが見やすいよう表面を処理して撮影した(写真:舞鶴市)
写真4■ 破損したローラーの断面。ひび割れが見やすいよう表面を処理して撮影した(写真:舞鶴市)

 そのため、製造時にひびが入ったと考えられる。ひびは表面まで達していないので、外見では確認できない。長期にわたる荷重で、見えなかったひび割れが外周部や中心部に延び、ローラーが割れたようだ(図2)。

図2■ 製造時から内部にひび割れか
図2■ 製造時から内部にひび割れか
推定されるローラー破壊のメカニズム。舞鶴市の資料を基に日経コンストラクションが作成
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