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定期点検の制度がうまく機能していれば、本来は通行止めなどの緊急措置は生じないはずだ。しかし現状では、IやIIと判定された橋でも劣化によるトラブルが後を絶たない。2020年12月には、定期点検制度の信頼性を根底から揺るがす事件も起こっている。

 定期点検業務を受注したのに、ろくに点検もせず、前回調書を日付だけ変えてしれっと納品する──。こんな前代未聞の不正が2020年12月に発覚した。

 不正を犯したのは応用地質だ。同社が19年度に手掛けた大型カルバート10カ所とシェッド13カ所の計23施設の定期点検で、過去に作成した調書の流用が見つかった。

 橋や大型カルバートなど道路施設に対する5年に1回の定期点検が14年度に始まり、現在は2巡目に入っている。早期に措置が必要なIIIと判定された施設の補修などを進めている段階だ。補修の判断材料となる点検結果がでたらめだとすれば、定期点検制度が根底から揺らぐ。

 応用地質は、問題となった23施設で14年度の前回点検も受注していたので、社内に過去の調書データが残っていた。点検業務を発注した国土交通省徳島河川国道事務所によると、同社の担当技術者が下請けを確保できなかったため、不正に及んだという。大型カルバート5カ所については下請けに発注できたが、そこでも過去の調書の流用があった。

 日経コンストラクションが入手した23施設の点検調書を見ると、大型カルバート5カ所とシェッド12カ所では、日付を除くと、写真から変状図まで全てが前回調書と同じだった(図1)。

図1■ 前回調書を日付だけ変えてそのまま納品
図1■ 前回調書を日付だけ変えてそのまま納品
徳島市内にある大型ボックスカルバート「東吉野二丁目(その2)BOX」の点検調書の一部。2014年度に続き19年度の定期点検も受注した応用地質は、前回の調書を日付だけ変えて、そのまま納品した。国土交通省四国地方整備局の資料に日経コンストラクションが加筆
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