必須科目Iは、日本技術士会が公表している概念・出題内容・評価項目と結び付いた設問が出題される。防災・減災やDXといった時事性の高いテーマについて、今からキーワードを整理して準備しておきたい。(日経コンストラクション)
1.必須科目Iの論文内容
2019年度から記述式論文に変わった必須科目Iの内容を図1に示す。問題の種類は「建設部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力および課題遂行能力だ。
2問出題されて1問を選択し、600字詰め答案用紙3枚に記述する。試験時間が2時間なので、選択科目IIやIIIと比較すれば時間に余裕がある。必須科目の合格基準は21年度も例年どおり60%だ。
図2に20年度の必須科目I−1の試験問題を示した。小問(1)~(4)の傾向はI−2もほぼ同様だ。前段の問題文こそ長文だが、「設問の骨子」は図3に要約できる。ただし、下線部が19年度の試験問題と少し異なっている。
内容を少し変化させた設問は、今後も出題が予想される。設問が変化しても対応できるように練習しておきたい。そのために大切なのは、試験の概念を理解することだ。
日本技術士会からは、必須科目の試験の概念や出題内容、評価項目が公表されている。各小問の設問の骨子と概念などとの結び付きを確認し、論文作成時のチェックポイントとして留意しておく必要がある。
20年度のI−1は、小問(3)の出題内容が少し変化したが、問われている概念などに変わりはない。小問(3)や(4)は出題者による改題が容易だ。しかし、概念などを押さえて論述練習すれば、本番でも動揺せずに記述できるはずだ。
次に、小問(1)~(4)の題意を解説する。まず、(1)でテーマに関する課題を多面的な観点から抽出して分析する。分析とは、抽出した課題の背景や現状を明らかにした上で、問題点を示すこと。多面的な観点として、その課題の根源となる「品質面」「コスト面」などのフレーズを入れる。続いて(2)で抽出した課題の中から最も重要な1つを挙げ、その解決策を複数記述する。
そして(3)で、その解決策に共通するリスクと対策を記述する。問題文ではリスクや懸案事項と表現されているが同じことだ。20年度のI−1では波及効果を問われた。波及効果は直接期待した効果ではなく、予期していない効果を指す。
最後に(4)で、倫理と社会の持続可能性の観点から見た業務遂行の要件(および留意点)を答える。