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東日本大震災からの復旧・復興事業のインフラ整備は、大半がこの10年でほぼ完了する。復興予算で優遇され続けた成果だが、人口減少や住民ニーズの変化で風当たりも強い。今後、ストックとして居住者の生活を向上させ、避難した住民の帰還を促せるか否か、真価が問われる。

 東日本大震災からの復旧・復興インフラ整備の完了率は2020年9月時点で、「復興道路・復興支援道路」の80%や防潮堤など「海岸対策」の75%を除くと、ほぼ全て100%かそれに近い数値に到達している(図1)。国土交通省東北地方整備局によると、全延長が550kmに及ぶ復興道路・復興支援道路なども、21年3月末には96%に達する予定だ(写真1)。

図1■ 復旧・復興の進捗はインフラによってばらつきも
図1■ 復旧・復興の進捗はインフラによってばらつきも
復興庁の資料を基に日経コンストラクションが作成
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写真1■ 福島県内の復興支援道路の一部を成す桑折高架橋(写真:国土交通省)
写真1■ 福島県内の復興支援道路の一部を成す桑折高架橋(写真:国土交通省)
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 10年間の折り返し地点に当たる16年3月時点では、復興道路などは42%、海岸対策は22%にすぎなかった。当時、既に90%を超えたインフラも数多くあった。

 その後の数年間で、完了率の差はかなり縮まった。それでも、既存施設の有無で復旧と復興に分かれる海岸対策の「復興」の方は、20年9月時点で57%と遅れが深刻だ。

 防潮堤などの海岸対策の進捗は今後も不透明だ。所管する水産庁防災漁村課は、20年度末時点の完了率の見通しを明らかにしていない。遅れの理由が復興道路・復興支援道路とは大きく異なるためとみられる。

 東北地整によると、復興道路・復興支援道路の完成が遅れるのはトンネルの地山の崩れやすさで工事が難航したのに加え、21年2月の地震で工事中の橋梁が被災したせいだ。一方、海岸対策の遅れは「地元調整や用地買収などが難航したため」(水産庁防災漁村課)だという。地元住民との合意形成で苦労した事情がうかがえる(写真2)。

写真2■ 三陸地方の海岸の風景。2021年2月に撮影(写真:日経コンストラクション)
写真2■ 三陸地方の海岸の風景。2021年2月に撮影(写真:日経コンストラクション)
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