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福島第一原子力発電所における復興は、最長で40年かかるとされる廃炉事業だ。東京電力は事故の影響を抑え、事故の再発や廃炉の中断を防ぐ対策に土木技術を生かしている。その成否は全国の原発に対する信頼の回復に直結する。

 東京電力ホールディングス福島第一廃炉推進カンパニーは、福島第一原子力発電所の廃炉で講じてきた施策の中で、土木技術の役割を大きく3つに分けている。(1)放射性物質を含む汚染水への対策、(2)環境負荷の軽減や放射性廃棄物への対策、(3)津波など自然災害への対策だ(図1)。

図1■ 廃炉に必要な3つの土木技術
図1■ 廃炉に必要な3つの土木技術
背景の写真は事故後5年ほどを経た福島第一原子力発電所。写真中央右は1号機原子炉建屋。2016年11月10日撮影(写真:背景は日経コンストラクション、それ以外は東京電力ホールディングス)
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 (1)は汚染された地下水の流出を抑える海側の遮水壁と、地下水が建屋内に入って汚染されるのを防ぐ陸側の遮水壁から成る。(2)は海底土の被覆工事と放射性廃棄物の保管施設を設置するための造成工事だ。福島第一原発敷地内でのモルタル吹き付けなどのフェーシング工事、原発付近の汚染された海底土を粘土鉱物のベントナイトやスラリーで覆う工事がある。

 (3)は廃炉事業を進める福島第一原発を津波や地震から守るための対策だ。想定外とされる津波を受けて事故を起こした原発が、どのような対応を図っているのか。ここでは、津波への主要な対策である防潮堤などの施設に焦点を当てる(図2)。

図2■ 1~4号機付近に防潮堤や遮水壁が集中
図2■ 1~4号機付近に防潮堤や遮水壁が集中
(資料:東京電力ホールディングス)
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