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橋座部の耐力を照査する際、なぜか水平力をPC桁の本数で割っていた。担当者間の情報共有が徹底されず、仮の数値が一人歩きしたようだ。誤った数値を修正した後も、関連する箇所の再照査を怠っていた。

 滋賀県が河川改修に伴って架け替えた下関屋橋で、橋台の強度不足が判明した。設計を複数の担当者で進めるなか、情報共有が徹底されずミスに至った。

 下関屋橋は、滋賀県長浜市を流れる大川に架かる橋長47.5m、幅員7.7mのプレテンション方式プレストレスト・コンクリート(PC)2径間連続床版橋だ(写真1)。2015~17年度に、事業費約2億7000万円で建設した。問題があった左岸側のA1橋台は、地震時に上部構造からの水平力を受ける固定端の役割を担う。

写真1■ A1橋台(写真右)で強度が不足した下関屋橋。川を管理する滋賀県と、橋を通る市道の管理者の長浜市が事業を実施。工事の発注は県が担当した(写真:滋賀県)
写真1■ A1橋台(写真右)で強度が不足した下関屋橋。川を管理する滋賀県と、橋を通る市道の管理者の長浜市が事業を実施。工事の発注は県が担当した(写真:滋賀県)
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 A1橋台では、9列に並んだPC桁が、それぞれゴム製支承を介して橋座部の上に載る(図1、2)。さらに、PC桁同士の間には、上部構造と橋台を連結する長さ1.36m、直径60mmのアンカーバーを垂直に8本打ち込んでいる。

図1■ PC桁に生じる水平力をA1橋台側で受け持つ
図1■ PC桁に生じる水平力をA1橋台側で受け持つ
橋座部とアンカーバー双方の耐力が不足していた(資料:会計検査院)
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図2■ 変位制限装置のアンカーバーを8本施工
図2■ 変位制限装置のアンカーバーを8本施工
施工中のA1橋台。9本のPC桁の間にアンカーバーを設置した(資料:滋賀県)
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 固定端では、橋座部の耐力が水平力を上回るように設計しなければならない。設計を手掛けた正和設計(大津市)は、水平力を230kNと算定。この値は、橋座部の耐力を大幅に下回っていた。

 アンカーバー8本についても、水平力によって生じるせん断応力度は183N/mm2となり、許容せん断応力度の187N/mm2よりも小さい。この2点から、橋座部は所要の安全度を確保していると判断した。