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図面同士の不整合がきっかけで、防潮堤の逆T形擁壁の強度不足が判明した。設計変更の際に、なぜか無関係の鉄筋の径が勝手に変更されていた。発注者と設計者のいずれも変更に気づかず、誤った図面で施工してしまった。

 岩手県が2013年度から16年度にかけて整備した防潮堤の擁壁で強度不足が判明した(写真1)。会計検査院の調査官が、図面同士の不整合に気づいたのがきっかけだ。調べてみると、設計変更の際に設計者が誤って無関係の鉄筋径を変えていた。

写真1■ 完成時の防潮堤。上部には県道が通る。ボックスカルバートを組み込んで河川を通す複合的な構造だ(写真:岩手県)
写真1■ 完成時の防潮堤。上部には県道が通る。ボックスカルバートを組み込んで河川を通す複合的な構造だ(写真:岩手県)
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 問題があったのは、県が田野畑村明戸地区で実施した防潮堤の復旧工事だ。事業費は約11億9000万円に及ぶ。東日本大震災で被災した防潮堤を復旧し、その上に県道を整備した。防潮堤と交差する明戸川の水を通すため、堤体にはボックスカルバートを組み込んだ。

 強度が不足したのは、縦壁と底版から成る逆T形の鉄筋コンクリート造擁壁だ。河川との交差部で、防潮堤の土砂が河川に崩落しないようにする土留めの役割を担う。カルバートの上流側と下流側それぞれの河川両側の計4カ所に、現場打ちで設置した(図1写真2)。

図1■ 大半のブロックで強度が不足
図1■ 大半のブロックで強度が不足
防潮堤と河川との交差部の概要。第5ブロックを除く7つのブロックで耐力が不足した(資料:会計検査院)
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写真2■ 強度不足が指摘された逆T形擁壁の施工時の様子。なぜ鉄筋径が変えられていたのかは不明だ(写真:岩手県)
写真2■ 強度不足が指摘された逆T形擁壁の施工時の様子。なぜ鉄筋径が変えられていたのかは不明だ(写真:岩手県)
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 擁壁の設計に当たり、県が基準とした日本道路協会の「道路土工─擁壁工指針」などによると、水中や地下水位よりも低い位置に設ける逆T形擁壁の場合、鉄筋の許容引張応力度を通常時で160N/mm2、地震時で300N/mm2として設計する。

 設計を受託した菊池技研コンサルタント(岩手県大船渡市)は、4カ所に設置する擁壁を、それぞれカルバート側と端部の2つのブロックに分割。計8ブロックで、それぞれ土圧などの荷重を算出し、縦壁と底版に配する鉄筋の応力計算を行った。

 底版のうち、背面土砂の下に位置する「かかと版」の上面側主鉄筋について、カルバート側の「接続ブロック」では径32mmの鉄筋を12.5cm間隔で配置。それ以外の「端部ブロック」では、径16mmの鉄筋を25cm間隔で配するように設計した(図2)。

図2■ 鉄筋径の変更理由は不明
図2■ 鉄筋径の変更理由は不明
逆T形擁壁の断面図。設計変更の際にかかと版上面側の鉄筋が細い径に変更されていた(資料:会計検査院)
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