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台風による洗掘で被災した頭首工を復旧したにもかかわらず、再び河床が洗掘された。仮締め切りから水が流入しているのに埋め戻しを続けた結果、締め固めが不足した。「このくらいは大丈夫だろう」といった甘い判断が災いした。

 高知県宿毛市が2016~17年度に実施した頭首工の災害復旧工事で、ずさんな施工が河床の洗掘を招いてしまった(写真1)。復旧工事で埋め戻した河床が、頭首工の底面から最大で70cm下までえぐれていた。施工の際、仮締め切りから水が流入しているのに、構わず河床の埋め戻しを続行したからだ。

写真1■ 洗掘の状況を調べている様子。河床が頭首工の底面から最大で70cm洗掘されていることを確認した(写真:宿毛市)
写真1■ 洗掘の状況を調べている様子。河床が頭首工の底面から最大で70cm洗掘されていることを確認した(写真:宿毛市)
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 この頭首工では、上流側端部に高さ2.5m、長さ65mの止水壁を固定堰と一体で設けている。16年9月の台風16号で河床が洗掘され、止水壁などが損傷。市が事業費約2900万円で止水壁の修復や洗掘対策などの災害復旧工事を実施した。

 施工手順は以下の通りだ。まず、頭首工の上流側前面の施工区域全体を鋼矢板(以下、仮設鋼矢板)で締め切る。台風で河床の洗掘が止水壁の下端(設置面)より深い位置まで達していた延長19.2mの区間では、洗掘防止のために止水壁の下部に鋼矢板(以下、下部鋼矢板)を打設。下部鋼矢板の両脇の計16.5m区間を含む延長35.7mでは、河床を設置面まで掘り下げてから止水壁を原形復旧した。その後、施工区域全体を被災前の河床の高さまで土砂で埋め戻した(写真2図1~3)。

写真2■ 災害復旧工事が完了した2018年3月時点の頭首工(写真:宿毛市)
写真2■ 災害復旧工事が完了した2018年3月時点の頭首工(写真:宿毛市)
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図1■ 洗掘対策を念頭に施工
図1■ 洗掘対策を念頭に施工
工事の概要。損傷した止水壁の付近を設置面まで掘り下げて復旧し、埋め戻した(資料:会計検査院)
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図2■ 35.7mの区間を埋め戻し
図2■ 35.7mの区間を埋め戻し
洗掘が大きかった箇所には洗掘防止用の下部鋼矢板を打設した(資料:会計検査院)
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図3■ 仮締め切りを土のうから鋼矢板に
図3■ 仮締め切りを土のうから鋼矢板に
当初は土のうによる仮締め切りを行ったが、浸水が多いので鋼矢板に切り替えた。それでも浸水を止めきれず、締め固め不足につながった(資料:会計検査院)
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