
過去問で攻略! 1級土木に学ぶ技術の基本
目次
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車両系建機は作業前も安全対策を
現場で車両系建設機械を扱うに当たって、事業者は安全管理上、様々な措置を講じる必要がある。労働安全衛生規則では作業中だけでなく、準備段階も含めて幅広く措置事項を規定する。そうした法令の順守はもちろん、機械ごとの特性を踏まえた安全対策も欠かせない。
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配置技術者は下請け総額で区分
監理技術者と主任技術者のどちらを配置するかは、下請け契約の総額で決まる。配置要件で基準となる下請け総額は2023年1月の建設業法施行令の改正で引き上げられた。配置技術者は建設業法で規定しているが、同様に要職である現場代理人は契約上の役職だ。
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組み立て溶接も構造材の一部
溶接は工場での「組み立て溶接」、現場での「継ぎ手工」の各工程で実施する重要な作業だ。組み立て溶接も本溶接の一部となるので、本溶接と同様の高い精度が求められる。工場でも現場でも、溶接欠陥が生じないよう示方書のポイントを押さえて施工する。
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コンクリの重さや温度は側圧に影響
打設したばかりのコンクリートは流動性を帯びているので、型枠には側圧がかかる。現場監督は専門工事会社が手掛けた型枠の割り付けが側圧に耐えられるかを確認する。側圧はコンクリートの単位重量や温度などで変わる。その関係を押さえておきたい。
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埋設物は試掘して原則目視で確認
現場の安全管理に必要な視点は、労働災害防止と公衆災害防止の2つに大きく分かれる。公衆災害防止に関する法令は体系化しておらず、「建設工事公衆災害防止対策要綱」で規定。埋設物については、施工に先立ち、掘削したうえで原則目視によって確認する。
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基礎底面を支持地盤に密着させる
支持地盤が浅いときに採用する直接基礎はコスト面で有効だが、施工上の注意点が多い。築造する構造物を直接支えるので、支持地盤面を処理する作業では繊細な配慮が必要だ。フーチング底面を支持地盤に密着させて、せん断抵抗が確実に生じるようにする。
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労働基準法で5つの補償を規定
現場の労働者を守る労働基準法は、日々の施工管理で知っておくべき大切な法規の1つだ。労働者が現場でけがなどを負った場合、5つの災害補償が「使用者」に課される。重層下請け構造の建設工事では、協力会社の労働者でも、その使用者は元請けだ。
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複数の工程表を理解して使いこなす
構造物の品質や原価、工期を適切に管理するには工程表の活用が不可欠だ。現場では1つの工程表だけでなく、複数の工程表を使い分けて工程を管理する。各種工程表を使いこなして計画とのズレを早期に発見し、必要な措置を講ずる。
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「捨てる」と決めつけず有効利用
建設発生土や建設廃棄物などの建設副産物を適切に処置することは環境保全の点で重要だ。簡単に「捨てる」と決めつけず極力、有効利用することを考えなければならない。建設発生土については、現場で「搬出の抑制」「工事間の利用の促進」の方針を順守する。
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情報化施工でも原理は変わらず
盛り土の締め固めでは、TSやGNSSを使った情報化施工による品質管理が普及している。聞き慣れない用語に戸惑うかもしれないが、品質を管理する原理は従来と変わらない。情報化施工の原理は、施工過程を確認することで品質を確保できていると見なす「工法規定方式」だ。
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品質・工程・原価の全てを満たす
工事着手前に発注者に提出する施工計画書は、施工者にとっても重要なものだ。発注者の求める品質を確保したうえで、最も原価を低くできる最適工期を選ぶ。現場の生産性向上を図るべく、新技術や新工法の採用も検討する。
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足場には幾つもの数値基準
建設業の労働災害の事故種別を見ると「墜落・転落」災害が3割超を占めて最も多い。フルハーネス着用の義務化が始まるなど高所作業での安全対策は現場の最重要事項だ。足場の作業床に定められた構造要件などはきちんと把握しておきたい。
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良質な建設発生土はそのまま使える
盛り土の材料には、コストや環境配慮の面から建設発生土を使うことが望ましい。近年、大量に出る建設発生土の処理が社会問題化し、不適切な投棄などにもつながっている。コーン指数の低い軟らかい発生土でも、土質改良を施して可能な限り活用したい。
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工法によって異なる孔壁保護
地上の構造物を支える杭基礎の工事を経験する土木技術者は少なくないだろう。現場で杭を構築する場所打ち杭は、工法によって孔壁保護の仕組みが異なる。各工法の施工フローを学んでおけば、孔壁保護に対する理解が深まる。
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事前の計画で品質が決まる
コンクリートの配合や打設、養生は、土工と並んで1級土木施工管理技士の試験で頻繁に出題される分野だ。配合を変えると打設や養生にどんな影響が及ぶのかなど、関連付けて整理しておくとよい。押さえておくべき数字もある。
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試験ごとに異なる結果の使い道
工事現場で監理技術者などを務めるために必要な国家資格の1級土木施工管理技士。過去の試験問題は受験勉強に役立つだけでなく、土木の基本を学ぶ最適な教材でもある。連載の初回は「土の原位置試験」を取り上げる。