全1535文字
PR

建設業の労働災害の事故種別を見ると「墜落・転落」災害が3割超を占めて最も多い。フルハーネス着用の義務化が始まるなど高所作業での安全対策は現場の最重要事項だ。足場の作業床に定められた構造要件などはきちんと把握しておきたい。

(イラスト:橋本 かをり)
(イラスト:橋本 かをり)
[画像のクリックで拡大表示]
※労働安全衛生規則の改正(2019年2月施行)を踏まえ、当時の問題文中の「安全帯」を「要求性能墜落制止用器具」に修正した
※労働安全衛生規則の改正(2019年2月施行)を踏まえ、当時の問題文中の「安全帯」を「要求性能墜落制止用器具」に修正した
[画像のクリックで拡大表示]

 労働災害よる死亡者数は、建設業で圧倒的に多い。厚生労働省の「労働災害発生状況」によると、2020年の労働災害による死亡者数は全産業の約3分の1を建設業が占め、2番目に多い製造業の2倍近い。安全対策は建設現場の最重要事項だ。

 建設業の労働災害で特に頻発しているのが「墜落・転落」災害。死傷災害全体の31.8%を占める。さらに死亡災害に限ると、割合が36.8%と上昇。他の事故種別よりも、生じると死亡災害につながりやすく危険性が高いといえる(図1)。

図1■ 建設業の労働災害は「墜落・転落」が最多
図1■ 建設業の労働災害は「墜落・転落」が最多
2020年に建設業で発生した労働災害の事故種別の割合。厚生労働省の「令和2年労働災害発生状況」を基に日経コンストラクションが作成
[画像のクリックで拡大表示]

 建設現場での墜落・転落を防ぐため22年1月2日からは高さ6.75m超の高所作業でフルハーネス型の墜落制止用器具の着用が義務付けられた。19年2月に労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則などを改正し、従来の「安全帯」も法令上、「墜落制止用器具」と名称を変えた。

 冒頭の問題のように、安衛則には安全に関する数値基準が幾つも定められている。現場の安全管理には、そうした数値の把握が不可欠だ。