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コンクリートの配合や打設、養生は、土工と並んで1級土木施工管理技士の試験で頻繁に出題される分野だ。配合を変えると打設や養生にどんな影響が及ぶのかなど、関連付けて整理しておくとよい。押さえておくべき数字もある。

(イラスト:橋本 かをり)
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 コンクリートの打設は、粗骨材などの材料分離を防ぎ、新旧のコンクリートを一体化できるかどうかが鍵となる。2016年度の学科試験(21年度以降は第1次検定に改称)では、そのための施工方法が問われた。

 選択肢(1)は、柱とスラブがつながった部位の打ち込み方法だ。ボックスカルバートの壁面と頂版との接続部などをイメージすると分かりやすい(図1)。こうした部位を打設する際は、問題文にもある「沈下ひび割れ(沈みひび割れ)」に注意しなければならない。

図1■ 高さが異なる部材を一気に打設しない
図1■ 高さが異なる部材を一気に打設しない
沈下ひび割れの発生メカニズムと対策。どの範囲のコンクリートをどのように打ち込むのか、打設計画で事前に決めておく(資料:日経コンストラクション)
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 沈下ひび割れは、主に以下のメカニズムで生じる。コンクリートを打ち込んでしばらくすると、「ブリーディング」と呼ぶ水が表面に浮き上がる現象が起こる。コンクリートが硬化する前の材料分離で、比重が小さい水が骨材などの間を上昇して生じる。ブリーディングによって、コンクリートの表面は沈下する。

 沈下量は部材の高さ1m当たり1~2mmほどだ。柱や壁など高さがある部材はコンクリートの沈下量が大きく、スラブなど高さがない部材は沈下量が小さい。高さが異なる部材のコンクリートを連続して打設すると、沈下量に差ができ、硬化する過程で沈下ひび割れが発生する。

 こうしたトラブルを防ぐには、柱や壁の頂部でコンクリートの打ち込みをいったんやめ、コンクリートの沈下が収まるまで1~2時間ほど待てばよい。つまり、選択肢(1)の文章が誤りとなる。

 沈下ひび割れは、コンクリートの沈下が鉄筋などで拘束された場合にも生じる(図2)。生じたひび割れは、コンクリートに振動を加えて消す。コンクリートの配合を見直す方法もある。例えば、単位セメント量や細骨材の微粒分を増やせば、ブリーディングの発生を抑えられる。

図2■ 鉄筋も沈下ひび割れの原因に
図2■ 鉄筋も沈下ひび割れの原因に
鉄筋に加え、型枠のセパレーターの下部などに連続した空隙が生じると、漏水の原因になる恐れがある(資料:日経コンストラクション)
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