構造物の品質や原価、工期を適切に管理するには工程表の活用が不可欠だ。現場では1つの工程表だけでなく、複数の工程表を使い分けて工程を管理する。各種工程表を使いこなして計画とのズレを早期に発見し、必要な措置を講ずる。(日経コンストラクション)
工程管理の良しあしは構造物の品質や原価に大きな影響を及ぼす。工程管理には工程表の活用が不可欠だ。
工程管理の目的は、「契約工期内で構造物を完成させること」。契約工期とは発注者が事前に設定した工期だが、必ずしも最適な工期であるとは限らない。工程計画の段階で、まず施工に要する実際の期間を把握する。
工程計画の立案では、工種別の各工事項目について、現場に適した施工方法や施工手順などの基本方針に基づき、日程や作業手順を定め、工程表を作成する。その後、施工段階で工程管理を進める(資料1)。
工程管理には、施工の順序と進捗を示す複数の工程表を使うのが一般的だ。設問では、それぞれの特徴を把握しているかが問われている。
現場で使う工程表のうち作成が容易なのは、横線式工程表だ。「バーチャート工程表」「ガントチャート工程表」「斜線(座標)式工程表」の3種類に細分化される(資料2~4)。
バーチャート工程表では、縦軸に作業名、横軸に作業に必要な日数を示す。横軸には計画と実施状況を合わせて書き込む。週間工程表などの短期間の計画の管理に適している。
ガントチャート工程表では、バーチャート工程表と同様に縦軸は作業名だが、横軸は達成率(出来高)とする。各作業の進行状況を把握しやすいが、所用日数は把握できない。
斜線式工程表は、縦軸に工期(日数)、横軸に距離を取り、工程を斜線で示す。距離が長いトンネル工事や、工区を分けて同じ方向に同時進行する地盤改良工事などに適している。