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地上の構造物を支える杭基礎の工事を経験する土木技術者は少なくないだろう。現場で杭を構築する場所打ち杭は、工法によって孔壁保護の仕組みが異なる。各工法の施工フローを学んでおけば、孔壁保護に対する理解が深まる。

(イラスト:橋本 かをり)
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 基礎は構造物の荷重を地盤に伝える重要な役割を担う(図1)。一般に、支持地盤までの深さが地表から5m程度以下ならば、「直接基礎」を使うことが多い。直接基礎には、原地盤が良好でそのまま用いる場合と地盤改良を行う場合とがある。

図1■ 構造物基礎の種類は多い
図1■ 構造物基礎の種類は多い
(資料:日経コンストラクション)
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 支持地盤が深いときには、「杭基礎」や「ケーソン基礎」などを用いる。杭基礎は杭を支持層まで打ち込んで構造物を支える。一方のケーソン基礎は鉄筋コンクリート(RC)製の大きな箱形の構造物(ケーソン)を地中に沈下させ、支持層に到達させる。

 支持地盤が深いときに使う基礎としては、他にも種類がある。例えば、環状の鋼管矢板と一体化した頂版で支える「鋼管矢板基礎」や、連続したRC造の壁で支える「地中連続壁基礎」といった特殊基礎だ。

 これらのうち、一般的に最も多く用いられるのが杭基礎だ。1級土木施工管理技士の学科試験(2021年度から「第1次検定」に改称)でも、杭基礎に関する出題は頻度が高い。

 杭基礎には、大きく2種類の工法がある(図2)。1つは現場で鉄筋かごを建て込み、生コンを打設して杭を構築する「場所打ち杭工法」。もう1つは工場などで作られた既製杭を使う「既製杭工法」だ。ともに毎年のように出題されている。

図2■ 杭基礎には場所打ち杭と既製杭がある
図2■ 杭基礎には場所打ち杭と既製杭がある
杭基礎の主な工法の分類。大きく「場所打ち杭」と「既製杭」に分かれる(資料:日経コンストラクション)
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