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4カ月前に完成した擁壁の倒壊で、発注者の群馬県渋川市は施工不良と見なし、建設会社を1年間の指名停止に。異議を唱えた建設会社が損害賠償を求めて提訴した結果、倒壊原因は市にあると認める判決が出た。現場の確認や契約に対する市のチェックの甘さが、法廷で明らかになった。

 群馬県渋川市は藤井建設(群馬県渋川市)に100万円の損害賠償を支払え──。前橋地裁は2021年3月12日、市が同社に下した指名停止措置を巡り、こんな“逆転”判決を出した。

 事件の舞台は、市東部の北橘(ほっきつ)運動場の主要施設である多目的運動場だ。斜面上に立地するため、運動場の西側に延長約100mにわたって法長1.5~1.8mのブロック積み擁壁を設ける必要があった。藤井建設はこの擁壁を含む運動場全体の造成工事を15年2月に完成させた。工事費は約1億円だった。

 完成から4カ月ほどたった15年6月15日午後、約30分間に27mmほどの雨が降った際、多目的運動場の擁壁が延長約30mにわたって倒壊した(写真1)。市は原因を藤井建設の施工不良と見なし、他に契約違反もあったと判断。15年11月4日から同社を1年間の指名停止とし、この措置を記者発表した。

写真1■ 降雨の影響で2015年6月、群馬県渋川市にある北橘運動場の擁壁の一部が倒壊。背後の盛り土の表面や前面の道路は未舗装だった(写真:朝日新聞社)
写真1■ 降雨の影響で2015年6月、群馬県渋川市にある北橘運動場の擁壁の一部が倒壊。背後の盛り土の表面や前面の道路は未舗装だった(写真:朝日新聞社)
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 これに対し、藤井建設は施工不良の一部を認めたものの、擁壁が倒壊したことへの責任は否定し、不当な指名停止とその記者発表で損害を受けたと主張。2000万円の損害賠償を求める訴訟を16年2月に起こした。

 裁判では、擁壁の倒壊が本当に施工者のせいだったのか否かが主要な争点となった。